日本大百科全書(ニッポニカ) 「大山田」の意味・わかりやすい解説
大山田
おおやまだ
三重県中西部、阿山郡(あやまぐん)にあった旧村名(大山田村(むら))。現在は伊賀(いが)市の東部を占める一地域。2004年(平成16)上野(うえの)市、伊賀町、阿山町、青山町、島ヶ原村と合併、伊賀市となる。名称の「大山田」は古代からの郡名に大の字を冠したもの。旧村域は、上野盆地の東端に位置し、東は急峻(きゅうしゅん)な布引山地(ぬのびきさんち)、西は低い丘陵を隔てて上野に続く。中心集落は平田(ひらた)。上野から長野峠を越えて津市に至る伊賀街道(国道163号)が通じる。総面積の約70%が山林で、農業と林業が主産業。肉牛(伊賀牛)を産する。洋ラン栽培も盛ん。松尾芭蕉(ばしょう)が「丈六に陽炎(かげろう)高し石の上」と詠んだ丈六仏を祀(まつ)る新大仏寺があり、木造如来(にょらい)坐像(頭部は快慶(かいけい)作)などの国指定重要文化財を所蔵する。服部(はっとり)川流域には、国の特別天然記念物オオサンショウウオの生息地がある。植木神社の祇園(ぎおん)祭は県の無形文化財になっている。
[伊藤達雄]