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飯田藩 いいだはん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

飯田藩
いいだはん

江戸時代,信濃国 (長野県) 伊那郡飯田地方を領有した藩。京極氏 10万石のあと,慶長6 (1601) 年に小笠原秀政が下総 (千葉県) 古河より5万石で転入,のち同国松本へ転出。元和3 (17) 年に代って脇坂安元が伊予 (愛媛県) 大洲より5万 5000石で転入。寛文 12 (72) 年に脇坂氏は播磨 (兵庫県) 竜野へ転出し,代って下野 (栃木県) 烏山より堀親昌が2万石で転入。その後,堀氏は石高の増減を経て1万 7000石で廃藩置県にいたっている。外様,江戸城柳間詰。 (→大洲藩 )

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藩名・旧国名がわかる事典の解説

いいだはん【飯田藩】

江戸時代信濃(しなの)国伊那郡飯田(現、長野県飯田市)に藩庁をおいた外様(とざま)藩。藩校は読書場。戦国時代、当地は武田氏が治めていたが、1582年(天正(てんしょう)10)織田信長(おだのぶなが)に滅ぼされ、以後、徳川氏や豊臣(とよとみ)氏の家臣が入り、伊那郡8万石の拠点として、飯田城の拡張や城下町の整備が進められた。次いで1601年(慶長(けいちょう)6)に下総(しもうさ)国古河(こが)藩から小笠原秀政(ひでまさ)が入り、飯田を中心とする下伊那と上伊那の一部5万石に限った飯田藩が成立した。秀政は13年に松本藩へ転封(てんぽう)(国替(くにがえ))となり、飯田藩は一時天領となった。17年(元和(げんな)3)、伊予(いよ)国大洲(おおず)藩から脇坂安元(わきさかやすもと)が5万5000石で入り、2代続いたあと、72年(寛文(かんぶん)12)に下野(しもつけ)国烏山(からすやま)藩から堀親昌(ちかまさ)が2万石で入った。以後明治維新まで堀氏12代が続いた。10代藩主親寚(ちかしげ)は水野忠邦(ただくに)天保の改革に献策して老中までのぼり7000石加増されたが、水野が失脚すると1万石減らされ1万7000石となった。幕末期には、水戸藩武田耕雲斎らの天狗党が領内を通過する際無策だったとして、さらに2000石減封された。江戸初期から中部山岳地域を結ぶ運送業の中馬(ちゅうま)が発達、江戸期を通じて盛行した。1871年(明治4)の廃藩置県で飯田県となり、その後筑摩(ちくま)県を経て76年長野県に編入された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

飯田藩
いいだはん

信濃(しなの)国(長野県)飯田・伊那(いな)地方を領有した藩。1590年(天正18)徳川家康の関東移封後、毛利秀頼(もうりひでより)により伊那郡10万石支配の拠点として、飯田城と城下町が拡張され、1601年(慶長6)小笠原秀政(おがさわらひでまさ)により、下伊那の約半分、上伊那の一部(箕輪(みのわ)郷1万石)を飛地(とびち)とした飯田藩5万石の成立となった。小笠原氏の松本移封後、4年の幕領を過ぎ、1617年(元和3)四国の大洲(おおず)より脇坂安元(わきざかやすもと)の飯田藩入封となり、小笠原時代の旧領が引き継がれ(ほかに上総(かずさ)に5000石領知)、1672年(寛文12)以降、堀氏により明治維新までの支配が続くが、堀氏の領有は飯田城周辺2万石のみであった。脇坂・堀氏とも外様(とざま)大名であるが、脇坂安元、堀親昌(ちかまさ)などは文人藩主として知られる。堀氏18代の親(ちかしげ)は、幕府の要職にあり7000石を加増され、老中格に進んだが、水野忠邦(ただくに)の失脚に伴い、1万石の減封を受けている。小笠原氏時代、伊那街道の西に春日(かすが)街道が開かれ、寛文(かんぶん)期(1661~1673)以降中馬(ちゅうま)街道として、本州中部を貫く往還道から物資が尾張(おわり)、三河方面へ搬出され、また流入した。飯田の街には日に数千の馬が出入りし、中馬(農民による駄馬輸送)による商品流通が藩の農産業に影響した。中馬一件(中馬と宿駅との抗争)、紙問屋一件(特産の紙に課す問屋口銭への反対)などの騒動の記録により、産物の動きを知ることができる。小藩飯田藩の財政は苦しく、早くから藩財政は御用達商人の手に握られていた。1762年(宝暦12)の千人講騒動(財源確保の強制講に反対)、1869年(明治2)の偽(にせ)分金(チャラ金)騒動(偽金引替え要求)など、城下の打毀(うちこわし)が激しかったことで知られている。1871年(明治4)廃藩、飯田県、筑摩(ちくま)県を経て、1876年長野県に編入された。[堀口貞幸]
『『新編物語藩史 第4巻』(1976・新人物往来社) ▽「飯田郷史考」(『市村咸人全集 第6巻』所収・1980・下伊那教育会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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