侘び(読み)ワビ

デジタル大辞泉 「侘び」の意味・読み・例文・類語

わび【×侘び】

動詞「わ(侘)びる」の連用形から》
茶道俳諧などにおける美的理念の一。簡素の中に見いだされる清澄・閑寂な趣。中世以降に形成された美意識で、特に茶の湯で重視された。→さび
閑寂な生活を楽しむこと。
思いわずらうこと。悲嘆にくれること。
「今はは―そしにける息のに思ひし君をゆるさく思へば」〈・六四四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「侘び」の意味・読み・例文・類語

わび【侘・詫】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「わびる(侘)」の連用形の名詞化 )
  2. わびしく思うこと。思いわずらうこと。気落ちすること。
    1. [初出の実例]「今は吾は和備(ワビ)そしにける気(いき)の緒に思ひし君を許さく思へば」(出典:万葉集(8C後)四・六四四)
  3. 閑居を楽しむこと。また、その所。
    1. [初出の実例]「わびのふせ屋の物ずき」(出典:浄瑠璃・曾我扇八景(1711頃)紋尽し)
  4. 茶道・俳諧などでいう閑寂な風趣。簡素の中にある落ち着いたさびしい感じ。
    1. [初出の実例]「花をのみ待つらん人に山里の雪間の草の春を見せばや 利久はわびの本意とて、此の歌を常に吟じ」(出典:咄本・醒睡笑(1628)八)
  5. ( 詫 ) あやまること。謝罪すること。また、そのことば。
    1. [初出の実例]「川上上野守殿藺牟田地頭御侘被成候」(出典:上井覚兼日記‐天正二年(1574)八月一五日)

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