倚門の望(読み)イモンノボウ

デジタル大辞泉 「倚門の望」の意味・読み・例文・類語

いもん‐の‐ぼう〔‐バウ〕【×倚門の望】

《「戦国策」斉策から》外出した子の帰りを待ちわびる母の愛情倚閭いりょの望。倚門の情。

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精選版 日本国語大辞典 「倚門の望」の意味・読み・例文・類語

いもん【倚門】 の=望(ぼう)[=情(じょう)

  1. ( 中国、戦国時代、斉の閔王(びんおう)所在が不明になったとき、王孫賈にその母が戒めて言ったことば「女朝出而晩来、則吾倚門而望。女暮出而不還、則吾倚閭而望。女今事王、出走、女不其処。女尚何帰」(「戦国策‐斉下」)による語 ) 家の門に寄り掛かって帰りを待ち望むこと。外出した子の帰りを待ちわびる母の情をいう。倚閭(いりょ)の望。
    1. [初出の実例]「遙思白髪倚門情、宦学三年業未成」(出典:遠思楼詩鈔(1837‐49)初・上・桂林荘雑咏示諸生)

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故事成語を知る辞典 「倚門の望」の解説

倚門の望

母親が、外出した子どもの帰りを待ちわびること。子どもを心配する母親の気持ちのたとえ。

[使用例] 三蔵は行李もたれて、古ぼけた障子を眺めて、国をずる時門にって自分を見送った老母白髪を思い浮かべる[高浜虚子俳諧師|1908]

[由来] 「戦国策せい策」に出て来るエピソードから。紀元前三世紀、戦国時代の中国で、斉という国の王が内乱のために行方不明になってしまったことがありました。このとき、王に仕えていたおうそんが自宅に帰ったところ、母にこんなことを言われます。「おまえが朝でかけて夜まで帰って来ないと、『吾、門に倚りて望む(私は家の門に寄り掛かって、帰りを待ち望むよ)』」。母親はそれほど子どものことを心配するものなのに、「おまえは王の行方がわからないまま、家に帰ってきてよいのかい」。そう諭された王孫賈は、必死になって王を探し、ついに反乱を起こして王を殺した犯人を見つけ出し、刺し殺した、ということです。

〔異形〕門に倚りて望む/りょの望。

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