俳諧師(読み)ハイカイシ

デジタル大辞泉 「俳諧師」の意味・読み・例文・類語

はいかい‐し【俳諧師】

俳諧連歌職業とし、その点料を取って生活する人。俳諧の宗匠
俳諧俳句に巧みな人。俳人
[補説]書名別項。→俳諧師
[類語]俳人

はいかいし【俳諧師】[書名]

高浜虚子長編小説。明治41年(1908)2月から9月にかけて国民新聞に連載された自伝的青春小説。単行本は明治42年(1909)刊行。

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精選版 日本国語大辞典 「俳諧師」の意味・読み・例文・類語

はいかい‐し【俳諧師】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 俳諧を職業とする人。また、俳諧に巧みな人。
    1. [初出の実例]「立圃者誹諧師也」(出典:隔蓂記‐慶安五年(1652)四月二四日)
    2. 俳諧師<b>[ 一 ]</b>〈人倫訓蒙図彙〉
      俳諧師[ 一 ]人倫訓蒙図彙
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 歌舞伎所作事。常磐津。三世桜田治助作詞。五世岸沢式佐作曲。二世藤間勘十郎・藤間男女太郎振付。四世中村歌右衛門の三変化「三幅対和歌姿画(さんぷくついわかのすがたえ)」の一つ。天保九年(一八三八)江戸中村座初演。俳諧師がふくべを携えて花見の踊りをする。
    2. [ 二 ] 長編小説。高浜虚子作。明治四一年(一九〇八)発表。作家志望の学生塀和(はわ)三蔵の俳句との出会いと、その仲間を通して青年期の人生彷徨(ほうこう)を描いた自伝的作品。

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改訂新版 世界大百科事典 「俳諧師」の意味・わかりやすい解説

俳諧師 (はいかいし)

俳諧の宗匠。《江戸鹿子》(1687)などの地誌類に諸師諸芸または諸職の一つとして登録されている。《人倫訓蒙図彙》(1690)は能芸部にあげて,俳諧の法式が貞徳,立圃(りゆうほ)に始まることを述べ,〈その流れを汲みて棟梁する者を点者と号す〉というが,《誹諧京羽二重》(1691)では点者,俳諧師,作者を区別している。広義には点者をふくみ,狭義には点者を除く職業俳人をいうか。それに対して,アマチュアの俳人を作者という。俳諧師は元来,連句の席にのぞみ,式法を正し,かつ興味ある一巻を成就させる指導者の称で,多くは自庵を中心に定例の月並会(月並(つきなみ))を催し,正月には歳旦帳を刊行した。また連句にかぎらず,発句,前句付(まえくづけ)の指導もするようになった。俳諧が大衆化し,地方に普及するに及んでは,文通指導や出張指導が必要となり,前者を業とする者を点者,後者をもっぱらとする者を行脚(あんぎや)俳諧師と呼んだ。点者ははじめは添削料をとって投稿に批点を加えたが,のちには添削をやめて点のみを加え,元禄年間(1688-1704)には,締切日を定めて作品を募り,勝句を板行して勝者に配り,高点句には賞品を出す興行形態が整った。つまり,創作過程指導が既成作品指導となり,点取競技の判定へと進んだ(点取俳諧)。それにつれて,俳諧師の兼業であったのがしだいに点業に比重がかかり,専門の点者の出現となる。点者は乱立を防ぐために認可制をとり,享保年中(1716-36)に,京都では官庁に定数を届け,江戸では点者組合を組織し,同業者の認可を得るための万句合興行が開業の条件となった。行脚俳諧師結社の組織を地方へ拡充し,伝書の授受と撰集活動で組織を固めた。撰集活動は,門下に奨めて積極的にこれを後見するケースと,芭蕉の年忌などに広く献詠を募って入句料をとるケースとがあった。
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俳諧師 (はいかいし)

歌舞伎舞踊の曲名。常磐津。1838年(天保9)3月江戸中村座初演。4世中村歌右衛門が帰坂以来6年ぶりのお目見得三変化所作事《三幅対和歌姿画(さんぷくついわかのすがたえ)》の一。作詞3世桜田治助。作曲5世岸沢式佐。振付2世藤間勘十郎。俳諧師といっても太鼓持めいた通人の描写で,日傘,瓢簞,扇,遠眼鏡,矢立,短冊の小道具を用いての見立ての振りがおもしろく,軽業の綱渡りまで見せる。皮肉でしゃれた江戸の味を残す作品。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「俳諧師」の意味・わかりやすい解説

俳諧師
はいかいし

高浜虚子(きょし)の長編小説。1908年(明治41)2月18日より7月28日まで『国民新聞』に連載。09年1月民友社刊。初心は小説にあった虚子は明治30年代後半写生文より小説に熱中したが、短編集『鶏頭』(1908)出版後の初めての長編。主人公塀和(はわ)三蔵に託した自伝性の濃い青春小説。俳句に熱中した京都の高校時代、東京より来遊する俳人たち、上京後の女義太夫(ぎだゆう)へのあこがれなど、正岡子規(しき)、内藤鳴雪(めいせつ)、藤野古白、新海非風、五百木飄亭(いおぎひょうてい)、竹本小土佐らをモデルにした。原作は90回本。女義太夫への痴情部分を除いた改訂の78回本もあるが、原作本が優れている。

[福田清人]

『『定本高浜虚子全集5』(1974・毎日新聞社)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「俳諧師」の解説

俳諧師
はいかいし

俳諧の師匠。近世では連句形式をとった俳諧の連歌が盛んで,その連句の席で指導者の役割をはたした。また,作品のよしあしに応じた評価を下す点者としての活動や,懸賞で作品を募集し勝敗を競う興行行為も行った。江戸では点者の組合も結成された。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「俳諧師」の解説

俳諧師
(通称)
はいかいし

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
三幅対和歌姿画
初演
天保9.3(江戸・中村座)

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