行方(読み)ユクエ

デジタル大辞泉 「行方」の意味・読み・例文・類語

ゆく‐え〔‐へ〕【行方】

行くべき方向。向かっていく先。「行方を定めずに旅立つ」
行った方向。行った先。「行方が知れない」「行方をくらます」
今後のなりゆき。また、将来。前途。「外交の行方を見守る」「行方を案じる」
[補説]「行衛」とも当てて書く。
[類語](1行き先行く先行く手/(3将来今後未来近未来行く末末末前途向後自今来たる目先行く先行く手行く行く先行き先先生い先あとのちあとあとのちのち後年他年この後これから向こう

ゆき‐かた【行(き)方】

ある場所に行く方法・道順。いきかた。「電車での行き方を教える」
物事を進める方法。やり方。いきかた。「堅実な行き方
[類語]方法仕方やり方方途方策さく手段手立てすべほう手法技法手順方式仕様致し方手口やり口機軸定石方便術計メソッド

なめがた【行方】

茨城県南東部、霞ヶ浦北浦に挟まれた地域にある市。低地を利用した稲作のほか、チンゲンサイの栽培が盛ん。平成17年(2005)9月麻生町北浦町玉造町が合併して成立。人口3.8万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「行方」の意味・読み・例文・類語

ゆく‐え‥へ【行方】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「行衛」ともあてる )
  2. めあてとして進み行く方向。向かうべき先。また、行った先。前途。ゆく先。ゆくて。
    1. [初出の実例]「さ夜ふけて 由久敝(ユクヘ)を知らに あが心 明石の浦に 船泊めて 浮寝をしつつ」(出典:万葉集(8C後)一五・三六二七)
    2. 「みのむしのみのを離て、行衛なき風にうかれ出むとす」(出典:俳諧・米沢家蔵芭蕉真蹟‐幻住菴記(1690頃))
  3. 今後の有様。ゆきつく先。先のなりゆき。将来。前途。ゆくすえ。
    1. [初出の実例]「あまたあらぬ名をしも惜しみ埋木の下ゆそ恋ふる去方(ゆくへ)知らずて」(出典:万葉集(8C後)一一・二七二三)
    2. 「きみのゆくゑをいのらせたまへかし」(出典:仮名草子・ねごと草(1662)上)
  4. 子孫。
    1. [初出の実例]「故大納言殿の忘形見の出来させ給て候しが、〈略〉是も咎(とが)有し人の行ゑなれば、如何なる御沙汰にか逢候はんずらん」(出典:太平記(14C後)一三)
  5. (ぜに)をいう、女房詞
    1. [初出の実例]「ぜに、御あし、ゆくゑとも」(出典:大上臈御名之事(16C前か))

ゆく‐かた【行方】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 進んで行く方角。行く先の方。ゆくえ。ゆくさき。ゆくすえ。ゆくて。
    1. [初出の実例]「たびの空に、たすけ給べき人もなき所に、色々のやまひをして、行方空もおぼえず、船のゆくにまかせて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. 心や気持の、進んで行く方向。心や気持の晴れる方法。やるかた。やるせ。多く打消の語を伴って用いる。
    1. [初出の実例]「夏草のうへはしげれるぬま水のゆく方のなきわがこころかな〈壬生忠岑〉」(出典:古今和歌集(905‐914)物名・四六二)

いき‐かた【行方】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある場所へ行く方法。行く道順。ゆきかた。
  3. やり方。仕打ち。態度。
    1. [初出の実例]「只句作をあやかり、行形(イキカタ)をまね」(出典:俳諧・雑談集(1692)上)
  4. ものわかり。のみこみ。
    1. [初出の実例]「はて爰な人は、いきかたの悪い」(出典:浄瑠璃・女殺油地獄(1721)下)

ゆき‐かた【行方】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある場所へ行く道順。また、行く方法。いきかた。
  3. 事を処理する方法。やりかた。しかた。いきかた。
    1. [初出の実例]「此行かたの男には、目ふさぎて首尾してやるが道なるに」(出典:浮世草子・好色盛衰記(1688)二)

ゆき‐がた【行方】

  1. 〘 名詞 〙 行くべき方向。行く方向。また、行った方向。行った先の場所。ゆくえ。いきがた。
    1. [初出の実例]「ののしり笑ければ、逃さりにけり。其後は行方もしらず、長(ながく)うせにけりとなん」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一二)

なめかた【行方】

  1. ( 古くは「なめがた」とも )
  2. [ 一 ] 茨城県南東部の郡名。霞ケ浦と北浦との間にはさまれる。古代遺跡が多い。
  3. [ 二 ] 福島県東部にあった郡名。明治二九年(一八九六宇多郡と合体して相馬郡となる。

いき‐がた【行方】

  1. 〘 名詞 〙 行った先の場所。ゆくえ。ゆきがた。
    1. [初出の実例]「いづくにもおくりきこえんと申ししかども、いき方おぼえぬよしの給ひしかば」(出典:あさぢが露(13C後))

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改訂新版 世界大百科事典 「行方」の意味・わかりやすい解説

行方[市] (なめがた)

茨城県南部の市。東は北浦(きたうら),西は霞ヶ浦に面する。2005年9月麻生(あそう),北浦,玉造(たまつくり)の3町が合体して成立した。人口3万7611(2010)。

行方市南部の旧町。旧行方郡所属。人口1万6587(2000)。東は北浦,西は霞ヶ浦に面し,中央に行方台地が広がる。中心集落の麻生は霞ヶ浦に面し,中世には常陸大掾氏の一族麻生氏が麻生城に拠って支配し,江戸時代は麻生藩新庄氏1万石の陣屋が置かれた。明治維新後,1878年に郡役所が置かれ,以後も郡の行政・文化の中心となり,現在も官公署や学校などが集中し,商店街を形成している。水郷稲作地帯の中心であるが,近年,北浦沿岸ではハス田への転換が多くみられ,霞ヶ浦沿岸では冬季にセリの栽培やイチゴのハウス栽培が行われる。畑作は葉タバコに代わって野菜の生産が増えている。ワカサギ漁を中心とした霞ヶ浦,北浦の内水面漁業も水質汚濁が進み,かつての面影はないが,近年はコイの養殖が盛んとなり,水産加工も行われる。天王崎,羽黒山公園は水郷筑波国定公園の景勝地である。縄文後期の大宮台貝塚や南古墳群などがあり,行方城跡など中世の山城跡も多い。

行方市北東部の旧町。旧行方郡所属。人口1万0938(2000)。北浦北西岸にあり,町域の大部分は行方台地上にある。台地上では古くから平地林の開墾が進み,サツマイモ,葉タバコ,ラッカセイ,ミツバなどが生産されたが,近年はトマト,メロンなどの生産がふえ,養鶏,養豚も盛ん。北浦沿岸の水田ではセリやれんこんの栽培が行われる。北浦の内水面漁業はワカサギの水揚高が減り,コイの養殖がふえている。北浦対岸にあたる鉾田市の旧大洋村との間に鹿行(ろつこう)大橋がかかる。

行方市北西部の旧町。旧行方郡所属。人口1万3940(2000)。霞ヶ浦の北東岸に位置し,町域の東部,北部は行方台地が占める。湖岸の低地では米,台地上ではラッカセイ,葉タバコなどが生産され,近年はイチゴ,ミツバなどの生産がふえている。霞ヶ浦の内水面漁業も盛んで,網いけすや水田を利用したコイの養殖が行われ,梶無川河口には県の内水面水産試験場がある。鹿島臨海工業地域の後背地として工業団地が造られている。5世紀末の前方後円墳三昧塚(さんまいづか)古墳や中世の玉造城跡,芦沢館跡などがあり,天台宗の名刹(めいさつ)西蓮寺の仁王門および相輪橖(そうりんとう)は重要文化財に指定されている。対岸のかすみがうら市の旧霞ヶ浦町との間は霞ヶ浦大橋で結ばれる。鹿島鉄道線が通じていたが2007年廃止。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「行方」の意味・わかりやすい解説

行方(市)
なめがた

茨城県南東部に位置する市。2005年(平成17)、行方郡麻生町(あそうまち)、北浦町(きたうらまち)、玉造町(たまつくりまち)が合併して市制施行、行方市となる。市名は郡名による。北は小美玉(おみたま)市、鉾田(ほこた)市、南は潮来(いたこ)市に接し、西を霞ヶ浦(かすみがうら)、東を北浦に挟まれる。市域は両浦の湖岸低地と、その間に広がる行方台地上に展開。霞ヶ浦湖岸を国道355号が縦走し、北部を国道354号が横断する。354号には霞ヶ浦に霞ヶ浦大橋、北浦に鹿行(ろっこう)大橋が架かり、かすみがうら市、鉾田市と結ばれる。また北浦には北浦大橋(県道荒井行方線)も架かり、鹿嶋(かしま)市域とを結ぶ。古代から常陸国府(現在の石岡市に所在)と鹿島地方とを結ぶ水陸交通の要地で、行方郡の郡衙が置かれた。中世には常陸大掾(だいじょう)氏の一族行方氏、玉造氏、麻生氏などが小高(おだか)城、玉造城、麻生城などに、武田氏、下河辺氏が武田城、行方城などに拠った。戦国末には佐竹氏領となる。江戸時代は麻生藩、水戸藩などに分属。麻生藩新庄(しんじょう)氏の陣屋が設けられた麻生は、武家屋敷が並び、河岸も整備される。陣屋を中心に町場も形成され、明治時代には行方郡役所も置かれた。

 現在の基幹産業は農業で、米作のほかセリ、エシャレット、ミズナシュンギク、トマト、イチゴなどの園芸農業、養豚なども盛ん。霞ヶ浦ではワカサギ、エビ、ハゼなどを漁獲し、佃煮が特産品。コイの養殖も行われる。北部にはゴルフ場が多く、上山鉾田(かみやまほこた)工業団地には精密機械などの工場がある。霞ヶ浦湖岸の一部は水郷筑波国定公園に指定され、霞ヶ浦大橋の近くに水の科学館を中心とする霞ヶ浦ふれあいランドがあり、麻生には景勝地天王崎(てんのうざき)がある。北浦大橋周辺に「白浜ふるさと自然のみち」が整備され、県立白浜少年自然の家がある。西蓮寺(さいれんじ)には1287年(弘安10)に弘安の役の戦勝を記念して建てられたという相輪橖(そうりんとう)があり、同寺仁王門とともに国指定重要文化財。熊野神社本殿、万福寺の阿弥陀堂、仁王門などは県指定文化財。面積222.48平方キロメートル、人口3万2185(2020)。

[編集部]


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百科事典マイペディア 「行方」の意味・わかりやすい解説

行方[市]【なめがた】

茨城県南部,霞ヶ浦の東部に位置する市。2005年9月,行方郡麻生町,北浦町,玉造町が合併し市制。国道354号線,355号線が通じる。東日本大震災で,市内において被害が発生。222.48km2。3万7611人(2010)。

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