六訂版 家庭医学大全科 「偶発性低体温」の解説
偶発性低体温
ぐうはつせいていたいおん
Accidental hypothermia
(外傷)
どんな障害か
深部の体温が36℃未満を低体温と呼び、軽度低体温(34~36℃)、中等度低体温(30~34℃)、高度低体温(~30℃)に分類されます。体温低下に伴い、意識障害、血圧低下、
原因は何か
水難事故や冬山登山でも起こりますが、一般には飲酒や睡眠薬の服用後に、寒冷環境におかれて発症した低体温を偶発性低体温といいます。高齢者や幼児では、寒冷にさらされただけで低体温に陥ります。
症状の現れ方
体温が低下すると、末梢血管を収縮させて体熱の放散を防ぐとともに、筋肉を震わせて熱を産生し、体温を維持しようとします。この寒冷反応がなくなると、体温は急速に下がります。
意識レベルは軽度では健忘、中等度では混濁して
検査と診断
傷病者の置かれていた環境と体温測定から診断は容易ですが、心電図は極めて多様な変化を示します。
治療の方法
呼吸・循環管理と復温(体温を回復させる)を行います。復温には加温した輸液、電気毛布やウォームマットを用います。
中等度、高度低体温では加温液による胃洗浄、さらに心停止に至る危険性のある重症の場合では、人工
応急処置はどうするか
乾燥した着衣に着替えさせ、暖かい場所に移動して保温に努めます。
吉岡 敏治
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報