胃の中にたまった食物残渣,凝血塊や薬物などを除くために,胃内にチューブを挿入し,直接胃内腔を洗浄することをいう。薬物中毒や胃運動障害,慢性胃炎に際して行われる。目的によりチューブの太さは異なるが,一般に直径8mm程度のゴム製あるいはシリコン製のものを用い,先端にグリセリンやゼリーを塗布した後に口から胃内に挿入する。門歯列から食道・胃境界部までが40cmであるため,50cm挿入すれば胃内に到達することができる。チューブが胃内に到達したらチューブを通じて洗浄液を送る。一般に生理食塩水を用いるが,場合により水道水でもよい。胃チューブに連結した延長チューブの末端に漏斗をつけ,そこから洗浄液を注入し,水圧の差を利用して注入する場合と,胃チューブに直接注射器をつけ注入する場合がある。一度に大量の洗浄が必要な場合は前者がよい。ひととおり注入が終わったら,チューブの先を低くして排出する。この排出液の性状が透明になるまで洗浄を行う。胃チューブを抜去する際は,胃,食道粘膜の損傷をさけるために徐々に抜去する。
執筆者:北島 政樹
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