元山ゼネスト(読み)げんざんゼネスト

改訂新版 世界大百科事典 「元山ゼネスト」の意味・わかりやすい解説

元山ゼネスト (げんざんゼネスト)

1929年朝鮮の咸鏡南道元山で起こったストライキ。元山郊外のイギリス系製油所での労働争議を支援するため,同年1月元山労働組合連合会は傘下労組員2200人にスト指令,元山の交通・港湾荷役は完全に停止した。9年の歴史を持つ元山労連と日本人資本家を中心とする商業会議所とのあいだに団体交渉権,契約権をめぐる激烈な長期戦が展開された。商業会議所が他地方からの労働者雇用で切り崩しを図ったのに対して,労連は内外に支援を呼びかけた。朝鮮各地や日本の組合その他各団体が支援金,激励文を寄せたが,指導者の検挙,闘争資金の枯渇により4月初め3ヵ月にわたるゼネスト敗北に終わった。植民地期の最大のストであり1920年代末の労働運動の高まりを告げるものとして知られている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「元山ゼネスト」の意味・わかりやすい解説

元山ゼネスト
げんざんゼネスト

1929年,朝鮮の咸鏡南道元山で発生した埠頭労働者のゼネスト。イギリス系企業ライジング・サン石油会社文坪油槽所の労働者は,28年9月,日本人監督による労働者殴打事件を契機に,監督罷免,最低賃金制確立を要求して,ゼネストに突入。会社側が3ヵ月後の解決を約束したのでストはいったん中止された。しかし,会社側の約束不履行にあい,翌年の1月から本格的なゼネストに入った。元山労働連合会はこれを支援し,ストは広範に拡大し,長期化した。総督府は強硬な姿勢で対処し,スト指導者を逮捕するなどの弾圧を加え,4月ついにストは中止された。

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