朝日日本歴史人物事典 「充真院」の解説
充真院
生年:寛政12(1800)
幕末期,彦根藩主井伊直中の娘。江戸生まれ。大老井伊直弼の異母姉。名は充。文芸,絵画,遊芸に堪能であった。日向延岡藩主内藤政順と結婚。子がなく,直弼の弟政義を養子にむかえる。34歳で夫に死別,髪をおろして充真院と称した。文久2(1862)年,諸大名妻子帰国許可令により,63歳で初めて延岡へ下る。2年後江戸へ帰るが,その往復の旅を『五十三次ねむりの合の手』『海陸返り咲こと葉の手拍子』(明治大学図書館蔵)という芸能に堪能な充真院らしいユーモラスな題名の道中日記2巻に記した。道中の風景や延岡での生活を絵入りで描写している。他に源氏物語評釈書,養蚕や日用の実用的な事柄を書き留めた見聞録,法話集などの著書がある。旅日記から,三味線を弾き端唄や替え唄を作り,侍女をつれて茶屋遊びもする豪快な大名夫人の姿が窺える。<参考文献>甲斐勇『下手の手佐和利』(私家版)
(柴桂子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報