八部郷(読み)やたべごう

日本歴史地名大系 「八部郷」の解説

八部郷
やたべごう

和名抄」高山寺本に「夜多倍」、東急本に「也多陪」の訓がある。現総社市総社を中心とする地域と考えられている。天平一一年(七三九)備中国大税負死亡人帳(正倉院文書)に美濃里の戸主賀陽臣恵理麻呂の戸口賀陽臣路が一五〇束の大税を借りて死亡したとある。「日本地理志料」や「大日本地名辞書」などは備中国府の故地を当郷内に求めるが、地名との関係からすれば服部はつとり郷に求めるのが妥当(→服部郷


八部郷
やたべごう

「和名抄」所載の郷。同書東急本に「也多倍」の訓がある。「新撰姓氏録」摂津国神別にみえる矢田部造の本拠地と思われる。天平勝宝八歳(七五六)一二月一七日の摂津国河辺郡猪名所地図写(尼崎市教育委員会蔵)にみえる開田使従八位下「矢田部造三田次」や、承和二年(八三五)一〇月二六日に興野宿禰を賜った摂津国の散位矢田部聡耳と弟で従八位上貞成(続日本後紀)は、一族であろう。


八部郷
やたべごう

「和名抄」に「八部」と記され、訓を欠く。「新編常陸国誌」に「按ズルニ、今ノ茨城郡谷田部村ナリ、名義ハ河内郡ノ八部ニ同ジク、往古矢田部ヲ置カレシ所ニテ、八部ニ従フモノハ和銅ノ制ナリ」とあり、現東茨城郡茨城町谷田部やたべ比定する。


八部郷
やたべごう

「和名抄」に「八部」と記され、訓を欠く。「新編常陸国誌」に「按ズルニ今其名ヲ失ス、思フニ今ノ那珂郡八田村ナリ」とあり、現那珂郡大宮町八田はつたに比定する。


八部郷
やたべごう

「和名抄」に「八部」と記され、訓を欠く。「新編常陸国誌」に「按ズルニ今ノ筑波郡矢田部邑ナリ」とあり、現筑波郡谷田部やたべ町谷田部に比定する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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