犯罪捜査は非公開で行われるのが通常であるが、広く国民から捜査上有益な情報を収集する必要性が高いときは、一定の限度で捜査機関が捜査の資料の一部を一般に公開して国民に協力を求め、国民から寄せられる情報を捜査に活用することが行われている。このような捜査の方法を公開捜査という。捜査の方法として公表することに限るから、被疑者を逮捕した事実の公表は含まれない。犯人の似顔絵等を公表して犯人についての情報を入手しようとする場合、所在不明の指名手配被疑者についてその写真等を公表して居所に関する情報を入手しようとする場合、身元不明の被害者について所持品等を公開してその身元を確認しようとする場合、犯罪現場に残された遺留品等を公表して関連する情報を入手しようとする場合などがこれにあたる。公開の方法は、捜査機関がポスター、ちらしを作成して掲示、頒布するもの、インターネット、テレビ、新聞等を通じて行われるものがおもなものである。
[田村正博]