大略(読み)たいりゃく

精選版 日本国語大辞典 「大略」の意味・読み・例文・類語

たい‐りゃく【大略】

[1] 〘名〙 (副詞的にも用いる)
細部にまでわたって網羅はしていないが、一通りは含んでいる状態。完全にではないが、内容十中八九までおおうさま。だいたい。概略。ほとんど。
※後二条師通記‐寛治二年(1088)一〇月二一日「摂政殿仰云、旧御調度与御屏風申定歟如何、大略被定云々」
※日本読本(1887)〈新保磐次〉初歩「わたくしにもたいりゃくよめます」 〔孟子‐滕文公・上〕
② 数や程度ははっきりしないが、大体のところ。おおよそ。
※後二条師通記‐寛治七年(1093)五月四日「仰事云、大略六日可候之由候御気色云々」
吾妻問答(1467頃)「連歌大略こまやかなる事を先として」
③ 数えあげる中の大多数。とりあげた物事の全量大部分。あらかた。
※台記‐康治二年(1143)一一月一一日「又難憲栄所申之日、所陳有理、又問憲栄、申旨無理、大畧閉口、為泰親嘲」
太平記(14C後)一〇「御一門達 大略(リャク)腹切せ給と聞ければ」
[2] (形動) すぐれた知略。また、遠大なはかりごとを有するさま。大器量。
蘭学事始(1921)〈菊池寛〉八「素意大略の人なければ、此道かく速かに開くべからず」 〔漢書‐武帝紀・賛〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「大略」の意味・読み・例文・類語

たい‐りゃく【大略】

(副詞的にも用いる)
㋐大体の内容。あらまし。概略。「経緯大略を述べる」
数量や程度のおおざっぱなところ。おおよそ。大体。「被害大略一億円にのぼる」
すぐれた知恵とはかりごとがあること。
「素意―の人なければ、比道かく速かに開くべからず」〈菊池寛・蘭学事始〉
[類語]凡そおおよそあらまし概略大約大要大体一通り一応一般全般に総じて概して多くおしなべておおむね大概普通通例通常一体に総体・広く・遍く概要大筋概括粗筋大意大綱概況大枠あらかた輪郭アウトライン縮図レジュメ抄録摘要提要梗概ほとんど大部分大方大抵大半大多数絶対多数九分通り十中八九九分九厘百般万般多数数多無数あまた通じてほぼ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「大略」の読み・字形・画数・意味

【大略】たいりやく

あらまし。また、すぐれた智略。〔史記食其伝〕沛慢にして人を易(あなど)るも、大略多し。

字通「大」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android