六味(読み)ろくみ

精選版 日本国語大辞典 「六味」の意味・読み・例文・類語

ろく‐み【六味】

〘名〙
六種の味。すなわち、苦・酸・甘・辛・鹹(かん)・淡をいう。
※小川文庵宛大田南畝書簡‐文化元年(1804)九月二一日「何卒一帖御内覧可被下候。六味斗と覚申候」 〔禅苑清規‐八〕
※雑俳・神酒の口(1775)「よわい事六味八味とすまふとる」

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デジタル大辞泉 「六味」の意味・読み・例文・類語

ろく‐み【六味】

六種の味。かん
六味丸」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「六味」の意味・わかりやすい解説

六味
ろくみ

食物の味の総称である五味(酸、苦、甘、辛、鹹(かん))に淡を加えた称。淡は五味を加えてない味で、『南本涅槃経(なんぽんねはんぎょう)』に「六種の味がある。一に苦(にがみ)、二に醋(すっぱみ)、三に甘(あまみ)、四に鹹(しおからみ)、五に辛(からみ)、六に淡」などとあり、『大蔵法数(だいぞうほっす)』には「およそ飲食の味を調和するには、おのおのよろしいところがあるが、この六種よりも優れたものはない」などとある。なお、俗には強壮薬の六味地黄丸(じおうがん)の略称として用いられる。

[田所義行]

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世界大百科事典(旧版)内の六味の言及

【味】より

…栄西は《喫茶養生記》のなかで,酸味は〈柑子,橘,柚〉など,辛味は〈薑,胡椒,高良薑〉など,甘味は〈砂糖〉など,苦味は〈茶,青木香〉など,鹹味は〈塩〉などだと書いている。この五味に,あっさりした味の意の淡味を加えて六味と呼び,さらに渋味と不了味なるものを加えて八味と呼ぶこともあったようである。また,仏教では牛乳からヨーグルト,バター,チーズなどを作っていく過程に比したものであろう,乳味(にゆうみ)から順次に酪味,生酥(しようそ)味,熟酥味と進んで至高の醍醐味にいたるとしてこれを五味と呼び,これによって釈尊一代の教説の推移展開を説明することが行われた。…

※「六味」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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