仏事の法具名。大壇(だいだん),あるいはその省略形の修法壇,護摩壇等に備える金属製の小型椀で,同じ形の6個を一組とし,密教立(みつきようだて)の法要で導師が修法に用いる。六器は,火舎(金属製の香炉)を中心に左右に3個ずつ並べ,内側から閼伽器(あかき),塗香器(ずこうき),花鬘器(けまんき)と呼ぶ。これらには浄水をたたえ,樒(しきみ)の葉を置くが,葉の数は宗派等によって異なる。六器はいずれも法要に迎えた主尊の供養に用いるが,右側は修法の中心部に入る前の前供養に,左側はあとの後供養に用いる。たとえば,右側の閼伽器の水を,迎えた主尊の洗足の用に,左側の閼伽器の水を主尊の口をそそぐ用に充てるなどである。なお,天台系諸宗では,顕教立(けんぎようだて)の法要の際は,六器に菊などの生花の花のみを浮かべておくのが普通なので,六器を見て法要が顕教立か密教立かが事前にわかる。
執筆者:横道 万里雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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