日本歴史地名大系 「大壇」の解説
大壇
おおだん
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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仏事の法具名。密教立(みつきようだて)の法要のとき,導師(どうし)が修法に用いる正方形大型の壇。四隅に細い棒状の橛(けつ)という柱を立て,これに壇線という五色の糸でよった縄をからませて四方を囲む。修法に直接かかわる法具は,導師の直前の真ん中に据えた火舎(金属製の香炉),その左右に三つずつ並べた碗状の六器(ろつき),火舎のすぐ向う側に据えた金剛盤上の金剛鈴と五鈷(ごこ)などである。なお,盤上五鈷の向う左右には三鈷と独鈷を据える。これらはすべて,壇の左正面・右正面・向う正面にも同じ配列で置かれる。壇上四隅には花瓶(けびよう),その左右に飯食(ぼんじき),その中央寄りに羯磨(かつま),壇中央には宝塔と輪宝(りんぼう)を置く。これがだいたいの飾り方だが,宗派や修法の違いで細部は変わる。たとえば前述のほかに四隅の灯明が欠かせないが,これを壇上に置くか壇外に置くかなどである。大壇は四方正面の飾り方が同じなので,その法具を併せて四面器と称するが,略式の長方形の修法壇では,その4分の1に当たる一面器を置く。なお,壇の手前には導師の座である礼盤(らいばん)/(らいはん)を,礼盤の左側には脇机(わきづくえ)を,右側には磬(けい)を釣った磬架(けいか)を置き,脇机の上には塗香器(ずこうき),柄香炉(えごうろ)などを備える。
→密教法具 →六器
執筆者:横道 万里雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…堂の本尊を安置してある須弥壇(しゆみだん)は別として,法要の種類により必要な壇が違い,それを所定の位置に据える。多用されるのは,密教立(みつきようだて)の法要に用いる大壇(だいだん)と護摩壇(護摩)で,大壇は略式の修法壇で代用することもある。そのほか,聖天壇(しようてんだん),十二天壇,神供壇(じんくだん),灌頂壇(かんぢようだん),表白壇,施餓鬼壇(せがきだん)など壇の種類は多い。…
…やがて,壇上に火舎(かしや)(香炉)を中心に六器(ろつき),花瓶(けびよう),飯食器(おんじきき)などをそろえた一面器,さらに四面器を配するなど,密法法具の整備拡充が進む。和歌山県那智経塚の出土品の中から,四橛,羯磨,花瓶のほかに,4口の火舎や六器などの一括遺品が発見され,平安後期には一応,大壇(だいだん)が形成されていたものと考えられている。
[種類]
(1)金剛杵 古くインドの武器で,帝釈天や金剛力士の持物でもある。…
※「大壇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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