蔵奉行(読み)クラブギョウ

デジタル大辞泉 「蔵奉行」の意味・読み・例文・類語

くら‐ぶぎょう〔‐ブギヤウ〕【蔵奉行】

江戸幕府職名勘定奉行に属し、各地米蔵管理して米穀出納をつかさどった。

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精選版 日本国語大辞典 「蔵奉行」の意味・読み・例文・類語

くら‐ぶぎょう‥ブギャウ【蔵奉行・倉奉行】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 蔵を管理する役職名。
    1. [初出の実例]「有司とは仕官者を云也。此は倉奉行を云也」(出典:足利本論語抄(16C)堯曰第二十)
  3. 江戸時代幕府年貢米収納蔵の管理と米の出納をつかさどる職名。城米廩奉行。蔵の奉行役。
    1. [初出の実例]「大坂詰御蔵奉行并算用之者等勤方相改り候」(出典:事蹟緒鑑‐三七・宝暦六年(1756)一〇月五日)

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改訂新版 世界大百科事典 「蔵奉行」の意味・わかりやすい解説

蔵奉行 (くらぶぎょう)

江戸幕府の職制で勘定奉行の配下に属し,幕府米蔵の管理と米穀類の出納を担当した役人。江戸城内,浅草,本所ほか,京都二条,大坂,摂津高槻,近江大津,駿河清水など主要な幕府御蔵の所在地におかれたが,中期以後は江戸浅草,大坂,京都二条の3ヵ所に統括された。江戸では1636年(寛永13)に初めて3名任命され,74年(延宝2)には10名,のち整理されて7名となった。江戸城内では焼火(たきび)間に列し,役料200俵,配下に手代数名のほか蔵番,小揚,杖突門番等がいた。大坂蔵奉行は1621年(元和7)に2名おかれ,のち3~4名に増員した。役料80石で,一時大坂城代や京都・大坂町奉行の支配下に入ったこともある。京都蔵奉行は25年(寛永2)城番設置とともに3名おかれ,1790年(寛政2)京都町奉行支配から勘定奉行の下におかれた。役料40石のほか配下の構成は江戸とほぼ同様であった。
浅草御蔵
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蔵奉行」の意味・わかりやすい解説

蔵奉行
くらぶぎょう

江戸幕府の職制の一つ。勘定奉行配下に属し、幕府領の年貢米の出納にあたる長官。慶長期には伊奈忠次(ただつぐ)、大久保長安(ながやす)らが個別に江戸城外郭内に米蔵をもっていたが、のち蔵奉行が成立したようである。蔵奉行の初見は1610年(慶長15)で松風助右衛門(まつかぜすけえもん)、紅林弥右衛門(くればやしやえもん)の名がみえる。江戸初期には蔵米(くらまい)と城米(じょうまい)は明確に区別され、蔵奉行と城米奉行が置かれていた。浅草御蔵(あさくさおくら)の成立は1620年(元和6)とされ、管轄する蔵奉行の半数は大番(おおばん)出役であった。浅草御蔵の蔵奉行の管轄地域は東日本に限られ、上方(かみがた)の御蔵には大坂、京都二条、摂津国高槻(たかつき)に蔵奉行が置かれていた。

[大野瑞男]

『大野瑞男著『江戸幕府財政史論』(1996・吉川弘文館)』

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