其文字(読み)そもじ

精選版 日本国語大辞典 「其文字」の意味・読み・例文・類語

そ‐もじ【其文字】

〘代名〙 (「そなた」の後半を略して「もじ」を添えた語) 対称。主として女性が、対等または目下に対して用いた。そもんじ。
御伽草子・清水冠者物語(室町時代物語大成所収)(室町末)「そもしにきかせまいらせて、ひとまづおとし申さんとおもひかねつつまいりたり」
[語誌](1)室町時代、尼門跡宮中で使用された女房詞で、目上に対して用いる敬意の高い対称代名詞であったが、江戸時代に入って敬意が薄れ、対等・目下に対しても用いるようになった。その際、尊敬表現にしたい場合には「さま」「どの」を付けた。
(2)もともとは女性専用語(男性が用いる場合は相手が幼児に限られる)であったが、遊里で対称代名詞として広く使われたことも影響したためか、男性が女性に対しても使用するようになった。

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デジタル大辞泉 「其文字」の意味・読み・例文・類語

そ‐もじ【×其文字】

[代]《「そなた」の「そ」に「もじ(文字)」を添えた語》二人称人代名詞。そなた。あなた
「―の鼻をひで見せられ候へ」〈咄・きのふはけふ・上〉
[補説]中世には女性が目上の男性に対して用いる語であったが、近世以降、対等または目下の男性に、または男性から女性に用いるようになり、目上の場合には「そもじ様」を用いるようになった。

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