使用済みの加硫ゴムに化学的・物理的処理を加えることにより,再び成形加工可能な可塑性と粘着性をもたせたゴム状物質。ゴム製品を製造する際に,場合によって原料ゴムの一部を再生ゴムにおきかえて使用される。安価であること,この使用により加工工程における動力消費が少なくてすみ,圧延,押出しなどの作業が容易になるなどの利点がある。反面,ゴム製品の弾性,引裂抵抗,引張強さなどの性能が低下するという欠点があるが,高度の性能を要求されない場合には相当量の使用も可能である。再生ゴムの原料としては使用済みのタイヤ,チューブ,ゴム加工工場から出るくずゴムなどが使用されるが,現在のところ天然ゴム主体のゴム製品スクラップが主として用いられている。
再生ゴムの製造方法はいろいろあるが,その原理はいずれも同じで,加硫ゴムの三次元網目構造を化学的・機械的手段で崩壊させることである。これはゴム分子鎖の切断によるものと考えられている。まず原料となる加硫ゴムをロールにかけて数cm程度のゴム片に粗砕したのち,さらにロール間隙を絞った細片用ロールにかけて細かいゴム粒とする。次にこの細粒状ゴムにトール油などの高沸点油を加え,加熱水蒸気とともに200℃付近で数時間加熱処理する。このとき必要に応じてジスルフィド類やメルカプタン類などの素練促進剤を添加する。この工程を終わった段階のものはまだゴム粒子どうしがくっついたカステラ状であるが,ロールにかけてよくすりつぶし,シート状に仕上げて再生ゴムとする。天然ゴム加硫物は加熱によって軟化するが,スチレン・ブタジエンゴム(SBR)加硫物は加熱によって初めは軟化するがやがて硬化してくる。このため合成ゴムスクラップを原料とするときは天然ゴムのときとは異なった反応条件,添加剤の種類や量を選ぶ必要がある。
執筆者:住江 太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
使えなくなったタイヤやチューブなどのゴム製品を再利用するため、物理的および化学的処理を加えて分離したゴム。再生法は、まずゴム以外の布や金具などの異物を除き、水洗したのち特殊ロールを何回も通して細粉にする。次に脱硫工程で再生剤とパイン油や鉱油などの油を加えて加熱処理する。最後に仕上げ工程でよく練って粒子を擦りつぶし、可塑性と粘着性をもたせて再生ゴムとする。再生ゴムは、未加硫ゴムに戻ったのではなく、高分子鎖が切断しているので、機械的性質が劣り、単独で使用することは少ない。自動車タイヤやベルト、ホース等の工業用ゴム製品、マット、履物・靴底、ゴム引布などに使用されている。歴史的にもっとも古い再生資源である。細粉化ゴムはリサイクルゴムrecycled rubberといわれ、充填(じゅうてん)剤としてアスファルト舗装などに使われる。
[福田和吉]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
廃棄処分となったくずゴムを粉砕し,金属や繊維などの不純物を取り除き,熱および再生剤で処理して可塑性を付与した後,一般のゴムの製造と同様に,配合剤をまぜて加硫したもの.再生法には,パン法,蒸解法,レクレーメーター法などがある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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