凡・大約(読み)およそ

精選版 日本国語大辞典 「凡・大約」の意味・読み・例文・類語

およそ【凡・大約】

[1] 〘名〙 (「おおよそ」の変化した語) 判断の内容や物事の量の、正確ではないがそれに近いところ。おおまかなところ。あらかた。ほとんど全部。
平家(13C前)一一「凡(ヲヨソ)(高良本ルビ)は九国の惣追捕使にもなされ」
[2] 〘副〙
① 数量の、正確ではないがそれに近いところ。ほぼ。だいたい。あらまし
※申楽談儀(1430)勧進の舞台翁の事「勧進の桟敷数、をよそ六十二三間也」
② 精密さを捨てて、話を一般論にするときにいうことば。総じて。いったい。そもそも。
※九冊本宝物集(1179頃)二「およそこの地獄のくげん、絵にかきたとへをとるにも、百千万のなかに一ぶんにもおよぶべからず」
③ 打消の語または否定的な内容をもつ語を伴って、全面的な否定感情を示すのに用いる。まったく。まずもって。
滑稽本浮世床(1813‐23)初「さうだけれど。およそ傍で見て居てきの毒なのは瀛(えい)公だぜ」
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の花見「そのおよそ何でもない対話にすっかり感心して」
[3] 〘形動〙
① 物事を正確に、慎重に扱わないさま。いいかげんだ。おろそかだ。ぞんざい。
史記抄(1477)四「人の名をば不言して官名ばかり挙たはをよそなぞ」
知能が不完全であるさま。あほう。
※歌舞伎・一心二河白道(1698)一「殿様はおよそな程に〈略〉と仰せられた。およそなと申すは阿呆のから名でござります」
[語誌](1)「おおよそ」は中古から認められるが、「およそ」が見られるのは中世後期からである。近世期の軽口本小咄本では「およそ」のみであり、口語では既に「およそ」が一般化していたと思われる。
(2)(一)の用法は、近世期には少なく、(二)の用法が多くなる。また、(三)の用法は、「おおよそ(一)③」から転じたものか。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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