最新 地学事典 「分散現象」の解説
ぶんさんげんしょう
分散現象
dispersion phenomenon
波動が伝わる際,その速度が一定でなく,周期また波長等とともに変わることによって生ずる現象。真空中の電磁波,一様な完全弾性体内を伝わる実体波,浅い水を伝わる長波等に分散はないが,半無限弾性体表面に一様な低速層が存在する場合のレーリー波・ラブ波等は分散性波動の代表である。光学において,プリズムを通過した光の方向が波長によって異なるのもその例である。ラブ波基本モードの位相速度は,波長0の極限で低速表層のS波速度,波長∞で半無限体内のS波速度に近づき,その間で単調に増加する。このように位相速度が波長とともに増えるとき正規分散,逆の場合を異常分散という。分散性波動では,位相速度と群速度の区別は重要である。振動源に与えられた衝撃的な擾乱は分散によって時間的にのび,長い距離を伝わった後では,周期の異なる波が次々に到着する。次元解析的な考察を行えば,層構造を伝わる表面波は原則として分散性をもつことが示される。無限弾性体でも,減衰のある場合には分散性をもちうる。光の分散に関しては,光が原子または分子に当たって生ずる散乱によって説明がなされ,多くの説がある。
執筆者:佐藤 泰夫
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

