改訂新版 世界大百科事典 「レーリー波」の意味・わかりやすい解説
レーリー波 (レーリーは)
Rayleigh wave
半無限弾性体の表面に沿って伝わる弾性波で,ねじれと体積変化とを伝える。この波の存在は,1885年レーリーにより理論的に証明された。地球の表面を伝わる地震波の一種もレーリー波と呼ばれる。レーリー波の振幅は表面から遠ざかるにつれて指数関数的に減少する。表面に垂直かつ伝播方向に平行な面内で振動し,振動は楕円軌道を描く。振動の向きは,楕円軌道の表面に近い部分で伝播方向と逆向きである。一様な等方弾性体でラメ常数が等しい場合,伝搬速度は横波速度の92%となる。層構造をもつ媒質の場合には,波長により伝搬速度が異なり,分散を生じ,波長が長いほど深部の構造の影響を受ける。地球自由振動の伸び縮み振動は,地球の曲率が無視できる範囲で,レーリー波とみなすことができ,内部構造の研究に用いられる。次数10~100の伸び縮み振動は,周期が100秒~10分で,マントルレーリー波と呼ばれる。
執筆者:島崎 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報