デジタル大辞泉 「切り裂きジャック」の意味・読み・例文・類語 きりさき‐ジャック【切り裂きジャック】 《Jack the Ripper》19世紀末の英国ロンドンで、売春婦を連続して惨殺した犯人の通称。事件は未解決で、今日でも猟奇的殺人の代名詞とされている。ジャック‐ザ‐リッパー。 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「切り裂きジャック」の意味・わかりやすい解説 切り裂きジャックきりさきジャックJack the Ripper 1888年8月から 11月にかけて,イギリスの首都ロンドンの東部,イーストエンドのホワイトチャペル地区付近で,少なくとも 5人の売春婦が殺害された連続殺人事件および犯人の通称。イギリス犯罪史上最も有名な未解決事件の一つ。1888年から 1892年にかけての数十件の殺人事件を切り裂きジャックの犯行とする説もあるが,5件とするのが一般的である。被害者のうち 1人以外は全員路上で客を誘っている際に殺害された。被害者はいずれも喉をかき切られ,遺体はある程度の解剖学の知識をもつとみられる者によって切り裂かれていた。捜査当局には遺体から摘出したとみられる腎臓の半分や,切り裂きジャックを名のる人物から挑発的なメモが送りつけられることもあった。犯人の割り出しと捕捉に向けて精力的な捜査活動が展開され世間の注目を集めたものの,事件は迷宮入りとなり,内務大臣と警視総監が辞任に追い込まれた。この未解決事件は,連続殺人事件が今日よりはるかにまれな時代において,大衆の想像力をかきたて,ひきつけてきた。数多くの文学や劇作品がこの事件を題材として扱い,ベロック・ローンズの小説『下宿人』The Lodger(1913)はアルフレッド・ヒッチコックによって映画化(1927)された。またアラン・ムーア作,エディ・キャンベル画のグラフィック・ノベル『フロム・ヘル』From Hell(1991~96)も 2001年に同名タイトルで映画化された。真犯人や事件の背景を探る関連書籍は 100冊をこす。犯人として最も多く引き合いに出されるのは,最後の事件後に姿を消し,のちに遺体で発見された弁護士兼教師のモンタギュー・ドルイットだが,画家のウォルター・シッカート,医師のウィリアム・ガルといった当時の著名人をはじめ,さまざまな人物が容疑者として推測の対象となっている。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報