精選版 日本国語大辞典 「切掛」の意味・読み・例文・類語
きっ‐かけ【切掛】
- 〘 名詞 〙
- ① 物を作る際、材料を切り始めること。また、その切り掛けた部分。物の先端。
- [初出の実例]「ひだりのながえのきっかけ一しゃくばかりのけて」(出典:娵入記(1443‐73頃))
- ② 気勢。心意気。意地。
- [初出の実例]「諸侍、男道のきっかけをはづし」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品一六)
- ③ 物事を始める時の手がかりや機会。てはじめ。しおどき。はずみ。
- [初出の実例]「習ひ掛け、きっかけは、更に無し」(出典:四座役者目録(1646‐53)下)
- ④ 物事が始まる原因、理由、動機。
- [初出の実例]「こしもとはきっかけの有威をふるひ」(出典:雑俳・柳多留拾遺(1801)巻八下)
- 「自分が嫌はれるべき何等のきっかけも与へないのに」(出典:明暗(1916)〈夏目漱石〉四九)
- ⑤ 能や歌舞伎などの演出で、俳優の演技、大道具の移動や変化、音楽、照明など、舞台の進行上の合図となる事柄。「きっかけを渡す」とは、動作の合図をすること、「きっかけをはずす」とは、合図が悪くて舞台の進行をさまたげることをいう。
- [初出の実例]「其きっかけを知らざる故に、地うたひも迷惑して」(出典:舞正語磨(1658)上)
- ⑥ ( 転じて ) 一般に、合図。符号。しるし。