デジタル大辞泉 「利し」の意味・読み・例文・類語 と・し【▽利し/▽鋭し/▽疾し/▽敏し】 [形ク]1 (利し・鋭し)切れ味がよい。鋭い。「剣大刀つるぎたち諸刃もろはの―・きに足踏みて死なば死なむよ君によりては」〈万・二四九八〉2 (疾し)㋐勢いが激しい。「ぬばたまの夜さり来れば巻向まきむくの川音高しも嵐かも―・き」〈万・一一〇一〉㋑速力が早い。迅速である。「足―・き御馬に移鞍うつし置きて」〈源・夕霧〉㋒時期が早い。また、時間の経過が早い。「春や―・き花や遅きと聞き分かむ鶯うぐひすだにも鳴かずもあるかな」〈古今・春上〉「うすものの表紙は―・く損ずるがわびしき」〈徒然・八二〉3 (敏し)頭の働きなどが機敏である。賢い。「心―・きものにて、ふと思ひ寄りぬ」〈源・葵〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「利し」の意味・読み・例文・類語 と・し【利・鋭・疾・敏】 〘 形容詞ク活用 〙① ( 利・鋭 ) 鋭い。切れ味がよい。鋭利だ。[初出の実例]「つるぎ大刀諸刃(もろは)の利(とき)に足踏みて死なば死なむよ君によりては」(出典:万葉集(8C後)一一・二四九八)「夜、銛(トキ)鋒(ほこのさき)に逢はむ。願はくは仙薬を服せ。〈興福寺本訓釈 銛 止支〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)② ( 疾・鋭 ) 勢いがはげしい。強烈だ。いちはやし。[初出の実例]「ぬば玉の夜さり来れば巻向(まきむく)の川音高しも嵐かも疾(とき)」(出典:万葉集(8C後)七・一一〇一)③ ( 敏 ) 覚りが早い。賢い。鋭敏だ。さかし。[初出の実例]「務めて勝福を興す。敏(トク)して学を好む」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))「識性(たましい)聰敏(トクまします)」(出典:水戸本丙日本紀私記(1678)崇神)④ ( 疾・捷 ) 時間的経過の早いさま。また、さかのぼった時点であるさま。素早い。迅速だ。→とく(疾)。[初出の実例]「且、河の水、横さまに逝(なか)れて、流末(かはしり)駃(トカラ)ず」(出典:日本書紀(720)仁徳一一年四月(前田本訓))「御返り〈略〉ときをこそ、かかる折にはとて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)橋姫)利しの補助注記( ④について ) 連用形「とく」には名詞の用法もあり、「とう」「とっく」などの変化した形もあるので、別項とした。利しの派生語と‐げ〘 形容動詞ナリ活用 〙 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by