デジタル大辞泉
「対揚」の意味・読み・例文・類語
たい‐よう〔‐ヤウ〕【対揚】
[名・形動](スル)
1 君命にこたえて、その主旨を広く世の中に示しあらわすこと。
「朝旨に―し開化富強の基本を建んとす」〈新聞雑誌四五〉
2 つりあっていること。また、そのものや、そういうさま。匹敵。対等。
「味方と敵と―すべきほどの勢にてだに候はば」〈太平記・八〉
「―ナ相手」〈日葡〉
3 相対すること。
「何ともなき取集勢を―して合戦をせば」〈太平記・二二〉
4 仏語。
㋐仏の説法に対して問答し、仏意を正しく理解すること。
㋑法会で散華の式のとき、仏法・世法の常住・安穏を願う偈を唱えること。また、その偈文や僧。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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たい‐よう‥ヤウ【対揚】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 形動 ) 能力、勢力、地位などがつりあって対応していること。匹敵すること。また、その物事や人、あるいはそのさま。対等。
- [初出の実例]「義実嗔云、広常雖レ思二有功之由一、難レ比二義実最初之忠一、更不レ可レ有二対揚之存念一」(出典:吾妻鏡‐養和元年(1181)六月一九日)
- 「六波羅の勢を見合すれば、対揚(タイヤウ)すべき迄もなき大勢なりけれ共」(出典:太平記(14C後)六)
- ② ある事柄や相手に応じること。あい対すること。
- [初出の実例]「彼者他門也。是者一門棟梁也。対揚如何者」(出典:吾妻鏡‐文治四年(1188)三月一五日)
- 「中々何ともなき取集勢を対揚(タイヤウ)して合戦をせば」(出典:太平記(14C後)二二)
- ③ 二つずつ対になること。コンビをくむこと。
- [初出の実例]「白拍子二人舞、即置レ櫛、公卿同二人舞也、大将依レ無二対揚一、独舞レ之」(出典:玉葉和歌集‐建久二年(1191)一一月二一日)
- ④ ( 「対様」とも ) 連歌、俳諧で、二つの詞が相対応すること。また、そのように句をつけること。また、その付け方。対様付け。
- [初出の実例]「春に秋、朝に夕、山に野、かやうに対揚する一体也、春のあはれはあけぼのの空、うき秋は猶(なほ)夕暮の心にて」(出典:撃蒙抄(1358))
- ⑤ 君命などにこたえて、民に向ってその主旨を明確に示し宣揚すること。こたえて称賛すること。
- [初出の実例]「馬太史者命世之才、専二対揚於村吏一」(出典:本朝文粋(1060頃)三・鳥獣言語〈菅原淳茂〉)
- 「慈に覆育の朝旨に対揚(タイヨフ)し開化富強の基本を建んとす」(出典:新聞雑誌‐四五号附録・明治五年(1872)五月)
- [その他の文献]〔書経‐説命下〕
- ⑥ 仏語。仏の説法の会座にあって、仏に対し問答をおこし、仏意を発揚する意で、仏の説法の相手となって、説法を引き出すこと。
- [初出の実例]「波斯匿王対揚之主、無上世尊演説之師。文言超卓、理致幽深」(出典:日本三代実録‐貞観二年(860)四月二九日)
- ⑦ 仏語。法会のとき、紙の蓮華をまく散華の式の後に、仏法、世法の常住安穏を願う偈文を唱えること。また、その僧。
- [初出の実例]「次散華師申二対揚一」(出典:江家次第(1111頃)七)
- 「梵音、錫杖、対揚、呪願師」(出典:庭訓往来(1394‐1428頃))
- ⑧ 仏語。学僧に対して宗旨を示すこと。〔碧巖録‐一九則・頌〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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対揚 (たいよう)
声明曲(しようみようきよく)の曲名。《散花(さんげ)》に引き続いて唱えられる曲で,まず〈南無法界道場真言教主遮那尊〉などと主尊の讃仰句を唱え,ついで〈天衆地類倍増威光〉〈過去聖霊皆成仏道〉〈聖朝安穏国家豊楽〉などの祈願句を連ねる。曲節は宗派によって違うが,一般に花やかで旋律の豊かなものが多い。《対揚》は,散花師が1句独唱すると,続いて職衆(しきしゆう)一同が同じ句を斉唱するという形式で進めていく。この形式を〈次第を取る〉と称し,対揚はその代表例である。曲名の由来は明確でない。語義は〈たたえあげる〉意ともいうが,それならば第1句だけが対揚句で,第2句以下は祈願句ということになろう。
執筆者:横道 万里雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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普及版 字通
「対揚」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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対揚
たいよう
声明 (しょうみょう) の曲種名。二箇法要 (にかほうよう) の散華 (さんげ) に付随する曲。原義は応対・称揚することで,中国の古典に用例がみえる。唱え方は,先唱者が一句を唱え,所定の位置までくると全員がその句の冒頭から唱えるという「次第取り」の方法による。また各句ごとに礼拝を行う。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の対揚の言及
【二箇法要】より
…後者は,《唄》《散花》《梵音(ぼんのん)》《[錫杖](しやくじよう)》の4曲を具備するが,初めの2曲も二箇法要の場合とは異なる詞章,曲節の曲を用いる。なお,二箇法要の《散花》には,《[対揚](たいよう)》という祈願の声明曲が付されるのが本儀で,合わせて《散対(さんたい)》と略称することがある。【横道 万里雄】。…
※「対揚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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