翻訳|dynamism
機械論に対立する考え方。ダイナミズム(ディナミスム)ともいい,力本説とも訳される。事物の原理のうちに,質量と距離の関係としての運動には還元されえぬダイナミックな力の存在を認める哲学説を指す。とくにライプニッツの自然学は,延長を本質とする物体観にもとづくデカルトの静力学的機械論的自然学との対比において,力動説の代表的なものである。ライプニッツにおいては力の概念は現象的自然の学である物理学の基礎とされるにとどまらず,さらに現象の根底に想定される真実在の学,すなわち形而上学の根本原理とされる。世界を構成する要素たるモナドは,形相的契機としての能動的力と質料的契機としての受動的抵抗力とから成る単純実体であり,いっさいの事象はそれぞれの単純実体の自発的働きの力動的展開,およびそれらの自発的働き相互の間の予定調和的対応として説明される。力動説という呼称は,ベルグソン説に典型的に見られるごとき,ダイナミックな生成を実在における本源的なものとみなす生命論的哲学説にも適用される。
執筆者:増永 洋三
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…この〈Kraft〉が,表現型としては多様であれ,自然の事物のなかにつねに一定に保たれる〈エネルギー〉という科学的概念の原型でもある。こうした考え方の最も徹底した形は〈力動説〉もしくは〈力本説〉(英語ではdynamism)と呼ばれる哲学上の主張になる。R.J.ボスコビチに代表されるこの立場は,物質を二義的なものとして,自然の根元的な実体を力と考え,原子もまたそうした力の場としてとらえるものである。…
…この〈Kraft〉が,表現型としては多様であれ,自然の事物のなかにつねに一定に保たれる〈エネルギー〉という科学的概念の原型でもある。こうした考え方の最も徹底した形は〈力動説〉もしくは〈力本説〉(英語ではdynamism)と呼ばれる哲学上の主張になる。R.J.ボスコビチに代表されるこの立場は,物質を二義的なものとして,自然の根元的な実体を力と考え,原子もまたそうした力の場としてとらえるものである。…
※「力動説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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