…この〈一期分〉のうちで特に有名なものは,親父から娘に対して上のごとき制約をつけて所領を譲った〈女子一期分〉の制度であった。この女子一期分は,鎌倉時代の中ごろ以降に一般化するが,この後,女子の所領相続権は急速に弱まり,室町・戦国時代には,化粧料と呼ばれるわずかな嫁資に限られるようになった。したがって,女子一期分の発生の後には,女子が子供に母として所領を譲与することがしだいにみられなくなり,日本における家父長制家族の形成が進むのである。…
…堪忍とは食糧,生計の資,ひいては〈生計を保つ〉という意である。堪忍分には,将軍の息女に与えられる化粧料,大名が客分の士や討死した家臣の遺族に与える捨扶持(すてぶち),合力(ごうりよく)などのほかに,改易された大名に幕府が与える場合があった。1619年(元和5)改易された福島正則に与えられた信濃川中島4万5000石,32年(寛永9)改易の加藤忠広に与えられた出羽丸岡1万石,40年改易の生駒高俊に与えられた出羽矢島1万石などが,その例である。…
…このように〈妻家所得〉なるものも実は女性が自分の属する〈氏〉の一員として分有している財のことであって,婚姻に際してとくに分与される特殊財産ではない。その意味で,女性が一般的な財産相続権を失うのに伴って成立する後世の化粧料等とは明確に区別されねばならない。古代に厳密な意味での持参財が存在しなかったことは,女性の身柄に対する代償という意味での〈婚資〉が未成立であったこととも対応し,いずれも女性が婚姻の前後を通じて生家の正規の一員としての資格を保持しつづけたという事情を背景としているのである。…
…セッケン,化粧水,乳液,クリームなどのように肌を清潔にし整えることを目的とする基礎用化粧品と,ファウンデーション,紅(べに),おしろい,アイシャドー,マニキュアのように,色調によって肌色や立体感を調節する仕上用(メーキャップ)化粧品,さらに頭髪用化粧品,芳香用化粧品,薬用化粧品(医薬部外品)などに分類される。化粧品の同義語に化粧料があるが,歴史的には両者を区別して使ったほうが理解しやすい。つまり化粧料は自家製の少量生産のもので,狭義の化粧品は専門の製造業者が大量生産し,商品化したものである。…
…現代以前の香料は,小アジア,アラビア,東アフリカからインド,スリランカそして東南アジア,中国の西南部にかけての熱帯アジアに産した各種の植物性と若干の動物性の天然香料からなる。そしてそれらは,後に述べるように焚香(ふんこう)料,香辛料,化粧料の三つに大別される。これらの香料は,人類の歴史にあって古くより東西の文化圏に需要され伝播された。…
※「化粧料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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