北酒出村(読み)きたさかいでむら

日本歴史地名大系 「北酒出村」の解説

北酒出村
きたさかいでむら

[現在地名]那珂町北酒出

久慈川の南に位置し、西北門部かどべ村。台地北端からは弥生式土器が出土し、古墳群もある。「常陸国風土記」の久慈郡に「夏の月の熱き日、遠里近郷より、暑さを避け涼しさを追ひて、膝をつらね、手携はりて、筑波の雅曲を唱ひ、久慈の味酒を飲む」とあるが、酒出村は古くは久慈郡に属し、郡内では酒造で名高く、それが地名起源となったともいわれる。字石井に多量の水の湧き出る所があり、酒の出た所という伝説がある。この水は酒を造るのに適するという言伝えもある。「吾妻鏡」の治承四年(一一八〇)一一月八日条に、没収された佐竹秀義の所領のなかに「酒出」とみえる。中世には佐竹氏一族がこの地に住み北酒出氏を称した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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