水府志料(読み)すいふしりよう

日本歴史地名大系 「水府志料」の解説

水府志料
すいふしりよう

一六巻・付録五〇巻・続集七巻

別称 水戸領地理志・御領中地理志 小宮山楓軒

成立 文化四年か

分類 地誌

原本 国会図書館ほか

解説 諸国の地誌を提出せよとの幕命を受けた水戸藩が小宮山楓軒に命じて編集させたもの。藩は文化二年に領内の村々に村況調査を行わせているから、楓軒は村が提出した書類をもとにまとめたものと考えられる。本編は茨城郡三巻、那珂郡二巻、久慈郡三巻、多賀郡一巻、行方郡二巻、新治郡・鹿島郡一巻、下野那須郡一巻、産物類一巻、目録・地図一巻と「松岡」一巻が現存。各村について、所属する組名、戸数水戸城下への距離、地勢古今沿革、位置、四方の里数、隣村との境界、産物、陣屋、稗倉、渡場、穀留番所、古城跡、古墳古文書・古図、古器物などを記載、「成たけ一村の(かばね)ヲ正しく可記」ことに努めている。続集は常陸に関する文献の抜粋、古文書の筆写などで、楓軒自身の筆写史料が多く含まれている。付録は水戸六巻、那珂郡三巻、茨城郡六巻、久慈郡七巻、多賀郡一巻、行方郡七巻、新治郡三巻、鹿島郡四巻、封外七巻、佐竹三巻、寺院一巻、名所和歌一巻、三幹記一巻。国会図書館本、国立公文書館本、水戸市の入江家本があるが、体裁内容とも最も整っているのは国会図書館本である。入江家本は楓軒自筆と認められる。本書村落実態を体系的に記述した意義はすこぶる大きく、水戸藩の地誌研究には「新編常陸国誌」とともに不可欠の文献。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報