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…その上限は,イエスをキリストと信ずる信徒たちを成員とする共同体が成立した時期であるが,これが〈教会〉という形をとるのはイエスの死後,後30年代に当たる。
[原始教会の成立]
最初の教会(いわゆる〈原始教会〉)は,《使徒行伝》の著者ルカによれば,聖霊の降臨にあずかった十二使徒を中心としてエルサレムに成立し,ペテロに代表される彼らの宣教内容はイエス・キリストの復活にあった。キリスト信仰の成立に,かつてのイエスの弟子たちの有した,復活のイエスの顕現体験に基づく復活信仰が大きな役割を果たしたことは事実である。…
…それ以前の初期キリスト教時代には,聖餐のサクラメントはパンと魚または他の主題(〈カナの婚礼〉〈パンと魚の奇跡〉)によって暗示的に表現されていた。初期の説話的表現では,キリストと十二使徒は古代の宴の習慣に従い,長椅子に横たわる姿勢で半円形あるいは馬蹄形のテーブルを囲んでおり,その上には聖餐の食物としてパンとブドウ酒の入った聖杯,あるいは魚や小羊(過越の祭に食べた犠牲の動物)などが置かれる。ビザンティン美術においては,サクラメントの意味を強調するために,キリストが弟子たちに聖体とブドウ酒を与えるという特殊な表現(〈使徒の聖体拝領〉)が用いられることもある。…
…原始キリスト教会において最重要の地位を占め,大きな権限を委託された指導者群をさす。その中核にはイエスが選んだとされる十二弟子(十二使徒)がいたとも考えられるが,十二弟子そのものの歴史性を疑問視する学者もいる。しかしパウロの《コリント人への第1の手紙》15章5節以下が示している最初期の宣教の要約は,実際にはイスカリオテのユダを欠いて十一人となっていたはずの弟子グループをそのまま〈十二人〉と表示することによって,それがすでにきわめて早い時期に固定化されたひとつのまとまりを意味していたことを暗示していることは注目すべきである。…
※「十二使徒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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