十如是(読み)ジュウニョゼ

デジタル大辞泉 「十如是」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐にょぜ〔ジフ‐〕【十如是】

仏語天台宗で、法華経方便品ほうべんぼんに基づき、一切の存在を相・性・体・力・作・因・縁・果・報・本末究竟ほんまつくきょうの10方面から説くもの。十如。如是

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精選版 日本国語大辞典 「十如是」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐にょぜジフ‥【十如是】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。「法華経‐方便品」の「仏所成就、第一希有、難解之法。唯仏与仏、乃能究尽。所謂諸法、如是相、如是性、如是体、如是力、如是作、如是因、如是縁、如是果、如是報、如是本末究竟等」の文により、一切の事物の実相には一〇種の如是があるとするもの。天台宗では、一念三千の基本とし、十如是はそのまま一つであると解する。十如是のうち、相は相状、性は内的本性、体は相・性の本体・主体、力は潜在的能力、作はその力の顕現、因は直接原因、縁は間接原因、果は結果、報は後世の報果、本末究竟等は以上の九つが一つに帰結し、そのまま実相に外ならないことをいう。十如。
    1. [初出の実例]「十如是教問僧識、七不堪心於我深」(出典本朝無題詩(1162‐64頃)九・夏日遊仙遊寺〈藤原通憲〉)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十如是」の意味・わかりやすい解説

十如是
じゅうにょぜ

鳩摩羅什訳『法華経』方便品の十種の「如是 (このようなの意) 」の文に基づいて展開された天台宗の教義。すなわち,すべての事象の「如是相,如是性,如是体,如是力,如是作,如是因,如是縁,如是果,如是報,如是本末究竟」をいう。特に中国,隋の智 顗が,彼以前の諸師の解釈をさらに発展させ,十如是は,迷いも悟りもすべて修め尽し,現象と本体とが互いに一体化して区別なく,仮のものと真実とがとけあって一つになっていること (→一如 ) を表わしているとした。中国仏教の発展形態として重要なもの。

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