朝日日本歴史人物事典 「十市遠忠」の解説
十市遠忠
生年:明応6(1497)
室町時代の武将,歌人。十市新左衛門の子。兵部少輔を自称。大和国の豪族で,山辺郡に竜王山城を築くなど,十市氏の勢力確立に貢献した。三条西実隆・公条を和歌の師とし,家集『日次詠草』のほか,『十市遠忠百首』『十市遠忠百番自歌合』など,活発な詠歌活動を展開するとともに,多数の歌書を書写して後世に伝えた。神仏をあつく信仰して,法楽歌を多く詠ずる一方,「大比叡やかたぶく月の木の間より湖なかばある影をしぞ思ふ」のように,戦国武士らしいスケールの大きな作品をも残している。<参考文献>井上宗雄『改定新版 中世歌壇史の研究/室町後期』
(加藤睦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報