十牛図(読み)じゅうぎゅうのず(その他表記)Shí niú tú

精選版 日本国語大辞典 「十牛図」の意味・読み・例文・類語

じゅうぎゅう‐の‐ずジフギウ‥ヅ【十牛図】

  1. 〘 名詞 〙 仏道修行過程をたとえた「十牛」を描いた図。宋の廓庵師遠撰によるものが一般的。→十牛
    1. [初出の実例]「建仁梵珣書記捧伏見上皇勅書一函并十牛図一巻者来」(出典空華日用工夫略集‐永徳二年(1382)三月二〇日)

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改訂新版 世界大百科事典 「十牛図」の意味・わかりやすい解説

十牛図 (じゅうぎゅうず)
Shí niú tú

中国,宋代の禅文献の一つ。修行と悟りの過程を,連結する10枚の絵と偈頌,および短い文によって示す。いくつかの異本があり,枚数もまた10枚に限らないが,その中心は,本来の自己をあらわす牛と,これを飼いならす牧人にたとえて,最後に牛も人もともに姿を消すところを,一円相によって表す普明禅師の作と,すべての絵を当初より円相の中に描いて,手元から逃げた牛を探し出し,ともに家に帰りつき,人牛ともに姿を消した所より,さらに再び,花開き水が流れる自然と,街角で語る聖俗2人の男を描く鼎州梁山廓庵禅師の作品との2系統があって,後者は宋代公案禅の発展とともに,とくに日本で流行し,禅の芸術の新しい根拠となった。(図参照)
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