日本大百科全書(ニッポニカ) 「単級学校」の意味・わかりやすい解説
単級学校
たんきゅうがっこう
学級は同学年の児童(生徒)で編制することを原則とするが、特別の事情がある場合は、数学年の児童(生徒)を1学級に編制することができる(学校教育法施行規則19条・55条)。いわゆる複式学級である。さらに小規模で、全校児童(生徒)を1学級に編制する場合、これを単級学校という。明治以降、山村・離島の僻地(へきち)に数多くみられ、第二次世界大戦後も1955年度(昭和30)で小学校約850校、中学校が約640校存在していた。ただし、62年改正の学校教育法施行規則(17条)で、小学校は12学級以上18学級以下が標準規模とされ、学級は同一学年で編制することが原則であり、また道路、交通機関の著しい発達のため、単級学校は減少してゆく。そして、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律116号)の69年改正により、4学年以上の複式学級が削除された。したがって、6学年複式という単級学校は法制上解消したことになる。しかし、単級学校にみられた、校内における、さらに地域と学校との間における緊密な人間関係、学年の枠を外した徹底的な個別指導法などは、学級編制や教授法、また学校教育全般の改善を考える際に、重要な示唆を与えるであろう。
[津布楽喜代治]
『宮坂哲文著『学級経営入門』(1964・明治図書出版)』▽『溝口謙三著『地域社会と学校』(1987・日本放送出版協会)』