シアトル(読み)しあとる(英語表記)Seattle

翻訳|Seattle

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シアトル」の意味・わかりやすい解説

シアトル
しあとる
Seattle

アメリカ合衆国、ワシントン州中西部ピュージェット海峡東岸にある同州最大の都市。人口56万3374(2000)。太平洋北西岸地域における商工業、交通の中心地として活躍するほか、同州の文化のリーダーシップもとる。良港に恵まれ、港湾都市としての性格も強く、石炭穀物など年間1500万トンの船荷を処理し、そのうちの3分の2がアジア向けである。同市経済の主軸をなす工業の発達は目覚ましく、市域には2200以上もの企業が集中する。なかでも市の最大雇用企業であるボーイング社を中心とした航空機産業が代表格で、それと並ぶものにエレクトロニクス鉄鋼、食品加工、衣料製薬、機械、木工、印刷業などがあり、漁業林業も盛んである。

 1851年に材木の町として設立された。84年の鉄道の開通のころから発展の兆しをみせたが、しばらくは何度かのストライキ大火にみまわれ、本格的な発展は97年のアラスカゴールド・ラッシュを待ち、アラスカとの唯一の連絡地点として重要な役割を果たした。1914年のパナマ運河の開通が港湾都市としての大きな飛躍の要因となったが、第二次世界大戦後は航空機産業、造船業が発達した。1909年にはアラスカ‐ユーコン太平洋博覧会、62年には21世紀博覧会の開催地となった。急速な近代化とは対照的に、西はオリンピック山脈、東はカスケード山脈南東にはレーニア山がそびえ、ワシントン湖など美しい大自然、温暖な気候に恵まれ、絶好のレクリエーション地域である。また、62年の万国博会場となったスペース・ニードルは、コロシアムオペラハウス、劇場、展示室などを備えたシアトル・センターとして文化のシンボル的存在となっている。大学施設も同市の教育・文化発展に大きく貢献しており、1861年創立のワシントン大学をはじめ、シアトル大学、シアトル・パシフィック大学などの所在地である。市名は、インディアン首長(しゅちょう)の名に由来する。

[作野和世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シアトル」の意味・わかりやすい解説

シアトル
Seattle

アメリカ合衆国北西部,ワシントン州西部にある都市。同国北西部の太平洋岸最大の都市で,カスケード山脈西麓にあり,ピュージェット湾の支湾エリオット湾に面する。 1851年入植,地名はアメリカインディアンの首長名に由来する。 69年に市制施行。 84年タコマとの間に鉄道が開通し,93年グレートノーザン鉄道の起点となった。 90年代のアラスカのゴールド・ラッシュ時代には,ここが基地となった。第2次世界大戦中は,造船,航空機製造が盛んになり,工業都市として発展した。北太平洋漁業の重要な基地であるとともに木材や農産物の大集散地である。現在では,これらの関連産業のほか,海洋科学,電子工学関係の産業が成長しつつある。市内には世界博覧会 (1962) の際建設された 185mの塔をはじめ,森林公園やオペラハウス,ボーイング社本社,ワシントン大学 (1861創立) ,シアトル大学 (1892創立) ,図書館,シアトル美術館,国際空港などがある。人口 60万8660(2010)。

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