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危険な関係 きけんなかんけいLes Liaisons dangereuses

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

危険な関係
きけんなかんけい
Les Liaisons dangereuses

フランスの作家ラクロ書簡体小説。 1782年刊。作者が砲兵将校として勤務したグルノーブルで得た素材をもとに,18世紀末フランス社交界の退廃した風俗を忠実に描写したもの。悪魔的女性メルトイユ侯爵夫人にそそのかされた遊蕩児バルモン子爵が貞淑の誉れ高い法院長夫人や純情娘セシルを次々に誘惑し,捨て去るという物語。『クレーブの奥方』『マノン・レスコー』の伝統を受継いだフランス心理小説の系譜に重要な位置を占め,『アドルフ』や『赤と黒』の先駆をなす作品として後代のボードレールジッドから高く評価された。

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デジタル大辞泉の解説

きけんなかんけい〔キケンなクワンケイ〕【危険な関係】

《原題、〈フランス〉Les Liaisons dangereusesラクロの長編小説。1782年刊。鋭い心理分析と巧妙な構成により、当時の上流社会を書簡体で描いた。

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デジタル大辞泉プラスの解説

危険な関係

1985年初演のクリストファー・ハンプトンによる戯曲。原題《Les Liaisons Dangereuses》。フランスの作家コデルロス・ド・ラクロの書簡体小説に基づく。1986年に第11回ローレンス・オリヴィエ賞(新作演劇賞)を受賞。1988年に日本で初演。1997年に宝塚歌劇団により『仮面のロマネスク』の題名でミュージカル化された。

危険な関係

1959年製作のフランス映画。原題《Les Liaisons Dangereuses》。コデルロス・ド・ラクロの同名小説の映画化。監督:ロジェ・バディム、出演:ジャンヌ・モロー、ジェラール・フィリップ、ジャン=ルイ・トランティニャンほか。

危険な関係

日本のテレビドラマ。放映はフジテレビ系列(1999年10月~12月)。全11回。脚本:井上由美子。音楽:吉俣良。出演:豊川悦司藤原紀香稲垣吾郎、篠原涼子ほか。恋愛サスペンス。

危険な関係

1988年製作のアメリカ映画。原題《Dangerous Liaisons》。コデルロス・ド・ラクロの同名小説の映画化。監督:スティーブン・フリアーズ、出演:グレン・クローズ、ジョン・マルコビッチ、ミシェル・ファイファーほか。第61回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。同美術賞、脚色賞、衣装デザイン賞受賞。

危険な関係

東海テレビ制作、フジテレビ系列放映による日本の昼帯ドラマ。2005年4月~7月放映(全65回)。原作はフランスの小説家、ラクロによる同名小説。出演:高橋かおり、RIKIYA、松尾れい子、小野寺昭ほか。

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世界大百科事典 第2版の解説

きけんなかんけい【危険な関係 Les liaisons dangereuses】

フランスの作家ラクロ書簡体小説。1782年刊。表面は貞淑を装いながら淫蕩なメルトゥイユ侯爵夫人は,以前自分を裏切った男が若い無垢な娘セシル・ボランジュと婚約したのを知り,復讐に手を借してくれるよう,これもかつて情交のあった遊蕩児バルモン子爵に頼む。子爵は信仰厚いトゥールベル法院長夫人を誘惑の最中であったが,侯爵夫人の挑発にのり,世間知らずのセシルをたやすく征服し,また法院長夫人が自分になびいたのを見て,捨ててしまう。

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大辞林 第三版の解説

きけんなかんけい【危険な関係】

ラクロの小説。1782年刊。上流社会を舞台とし、恋愛心理分析と当時の風俗とを描いた書簡体小説。フランス心理小説の代表的作品の一。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

危険な関係
きけんなかんけい
Les Liaisons dangereuses

フランスの作家ラクロの長編小説。1782年発表。バルモン子爵とメルトゥイユ侯爵夫人はかつて恋人であり、いまは共通の復讐(ふくしゅう)を動機として結ばれている。小説はその復讐の機会の到来から始まる。2人に共通の仇敵(きゅうてき)が「バラの蕾(つぼみ)」セシールと結婚することになったのである。侯爵夫人は子爵にセシール誘惑を迫る。しかしそのとき、子爵の心は信仰心厚い法院長夫人にひかれていた。侯爵夫人の嫉妬(しっと)、子爵の韜晦(とうかい)、侯爵夫人による法院長夫人への絶縁状の代筆、そしてついに2人の共犯者の決定的な対立と破局が、古典悲劇を思わせるほどの周到な技法によって描かれている。物語は多くの関係者相互の手紙のやりとりによって進行し、18世紀フランス文学に隆盛を極めた書簡体小説のなかでももっとも完成度の高い作品と目される。出版当時、モデル小説としてセンセーションを引き起こし、20世紀に入って、風俗批判の小説ないし「知力の神話」(マルロー)の視点から高い評価をかちえた。しかし放縦と真の情熱の葛藤(かっとう)として読むのがもっとも当を得ているかもしれない。[植田祐次]
『新庄嘉章・窪田般彌訳『危険な関係』全2冊(新潮文庫)』

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世界大百科事典内の危険な関係の言及

【書簡体小説】より

…その先駆となるのは,長らく真実の書簡集と思われていたが今日ではフランスのギユラーグ伯の作と推定される,有名な《ポルトガル文》(1669)である。18世紀に入るとイギリスではS.リチャードソンの《パミラ》(1740),《クラリッサ・ハーロー》(1747‐48),T.G.スモレットの《ハンフリー・クリンカー》(1771),フランスではモンテスキューの《ペルシア人の手紙》(1721),ルソーの《新エロイーズ》(1761),ラクロの《危険な関係》(1782),ドイツではゲーテの《若きウェルターの悩み》(1774)など質・量ともに最盛期を迎え,バルザックの《二人の若妻の手記》(1841‐42),ドストエフスキーの《貧しき人々》(1846)などが流行の終りを飾る19世紀の傑作である。 17世紀後半から18世紀にかけての書簡体小説の出現は,ヨーロッパ諸国で道路網が整備され,郵便馬車による郵便制度が確立されるに伴って,手紙の交換がしだいに人々の日常生活の一部になるという社会的背景を基盤としている点では,セビニェ夫人の《書簡集》に代表される17世紀以降の書簡文学littérature épistolaireの隆盛とも無縁ではない。…

【ラクロ】より

…21歳で砲兵少尉に任官,各地に駐屯し,1769年から75年までグルノーブルに勤務。79年西フランスの孤島エックス島で要塞構築に従事し,その余暇にグルノーブル社交界での見聞をもとに,書簡体小説《危険な関係》を執筆,82年に出版した。88年軍職を退き,ルイ16世の従弟オルレアン公の側近として政治に関与する。…

※「危険な関係」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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