即決裁判(読み)ソッケツサイバン

デジタル大辞泉 「即決裁判」の意味・読み・例文・類語

そっけつ‐さいばん〔ソクケツ‐〕【即決裁判】

公開法廷で簡略な手続きにより、原則として1回の期日内に行われる裁判。軽微な犯罪事件に対する科刑手続きとして用いられる。死刑無期・短期1年以上の懲役禁錮に相当する事件には適用されない。実刑判決はなく、懲役・禁錮刑には執行猶予が付くが、事実誤認を主張して上訴することはできない。
戦争内乱などの非常時に、権力を手にした側が反対派に対し、正規の裁判によらず即座に判決を下すこと。極刑に処することが多い。

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精選版 日本国語大辞典 「即決裁判」の意味・読み・例文・類語

そっけつ‐さいばん ソクケツ‥【即決裁判】

〘名〙 公開の法廷で簡単な手続きにより、原則として一回の期日内に行なわれる裁判。日本では、交通に関する刑事事件についてこれを認めている。〔新撰現代語字典(1931)〕

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知恵蔵 「即決裁判」の解説

即決裁判

比較的軽い罪で起訴された被告について、原則として初公判の日に判決まで終わらせる手続き。2006年10月から導入された。 死刑、無期懲役や1年以上の懲役・禁固に当たる事件は対象から除かれる。実刑判決はなく、懲役・禁固には必ず執行猶予が付く。 捜査段階で容疑者が同意し、検察官が起訴時に申し立てる。弁護人の同意も必要になる。弁護人がいない場合は、裁判所が速やかに選任する。起訴から14日以内に公判が開かれる。 公判では、冒頭に被告が「自分は有罪だ」と認めると、正式に即決裁判に進む。通常の刑事裁判のような冒頭陳述は省略され、証拠調べも簡略化される。原則としてその日に判決が出る。 この手続きにより、被告の身柄拘束日数は短縮されるが、自白が強要される恐れもある。容疑者、被告の権利に配慮しつつ、公判の迅速化を図る手続きとして運用されることが期待されている。

(岩田清隆 朝日新聞記者 / 2008年)

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