精選版 日本国語大辞典 「厚子」の意味・読み・例文・類語
あつし【厚子・厚司】
- 〘 名詞 〙 ( [アイヌ語] attush )
- ① 植物「おひょう」の異名。〔日本植物名彙(1884)〕
- ② ①の靱皮(じんぴ)の繊維を細かく裂き、糸にして織った布。また、その布で作られたアイヌの服。厚子織。
- [初出の実例]「洋服の上から褞袍のやうなアツシを着込んだ一人のボオイ」(出典:澪(1911‐12)〈長田幹彦〉三)
- ③ 歌舞伎衣装の名。②に似せて作ったもので異国風の趣を出す。厚子織。
- 厚子③〈義経千本桜渡海屋銀平〉
- [初出の実例]「天竺徳兵衛韓噺〈略〉天竺徳兵衛。実は宗観一子大日丸三やく松助、天ぢくへ吹流されし船頭にて、異国のアツシの上に上下を着て出る」(出典:歌舞妓年代記(1811‐15)九)
- ④ 大阪地方で産出される、平織りまたは綾織りの、厚くて丈夫な木綿の織物。紺の無地か大名縞で、多くは労働者の仕事着、前掛け、半纏(はんてん)などに用いる。《 季語・冬 》