平和利用を前提として原子力関連技術や核物質、機材の移転を可能にする2国間条約。軍事転用を禁じ、第三国への移転規制も盛り込む。政府間で署名した後、双方の国内承認手続きを経て発効する。日本はこれまで米国、フランス、中国、欧州原子力共同体(ユーラトム)など13カ国・1機関と締結している。核拡散防止条約(NPT)未加盟国インドへの原子力物資移転は原子力供給国グループ(NSG)で禁止されていたが、2008年のルール改正で解禁された。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
原子力の技術、燃料用核物質、部品などの利用を平和目的に限ることを義務づける国際協定。二国間の協定が多いが、多国間で結ばれることもある。原子力発電所をはじめとする原子力に関する技術の輸出入に際し、軍事利用や第三国への核拡散を防ぐ観点から、締結する必要がある。核関連物質の第三国への持ち出しを規制するほか、事故が起きた場合に国際関係機関への早期通報を義務づける。国際原子力機関(IAEA)の定期検査を受け入れる必要もある。協定発効には議会(国会)での批准が必要である。ウラン濃縮や、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理を認めるかどうかなどの協定内容は、当事国間の事情によって異なる。
もともと日本政府は、原子力技術や燃料用核物質を輸入し、使用済み核燃料の海外再処理を目的に、欧米先進国と原子力協定を結んできたが、2010年(平成22)以降、原子力発電所を輸出するために新興国と締結する例が増えている。1955年(昭和30)にアメリカ政府と結んだ日米原子力研究協定が最初で、2014年時点でイギリス、カナダ、オーストラリア、フランス、ロシア、韓国、中国、カザフスタン、ベトナム、ヨルダン、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)の合計13か国政府と二国間協定を締結。ヨーロッパ主要国が加盟するヨーロッパ原子力共同体(EURATOM(ユーラトム))とも協定を結んでいる。2014年7月時点で、インド、ブラジル、南アフリカ共和国、サウジアラビア、メキシコ政府と協定締結交渉を進めているほか、タイ、マレーシア、モンゴルとも折衝中である。日本の経済産業省の試算では、2010年代に400基台である世界の原子力発電所数は、中国、インド、ベトナム、サウジアラビア、トルコなど新興国の電力需要の増加で、2030年までに最大800基に増える見通しである。このため日本、アメリカ、フランスなどのほか、ロシア、中国、韓国などが、新興国と原子力協定を結ぶ例が増えている。
[矢野 武 2015年1月20日]
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