Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons.NPTと略称。核不拡散条約とも。1963年の部分的核実験停止条約調印後にジュネーブ軍縮委員会で討議が続けられ,米ソ双方の原案をもとに1968年7月ワシントン,ロンドン,モスクワで62ヵ国がNPTに調印,1970年3月発効。日本は1976年に批准した。191ヵ国(2010年)が参加している(うち北朝鮮は脱退宣言中。おもな非締約国はインド,パキスタン,イスラエル,南スーダン)。核兵器保有は1967年1月以前に核兵器を製造・爆発させた米国,ロシア,英国,フランス,中国の5ヵ国に限定され,核兵器の他国への譲渡,原子力の平和的目的以外への転用,非核保有国の核兵器製造などを禁止しているが,非核保有国の安全保障措置は除かれている。1995年,国連本部でNPT再検討・延長会議が開かれ,同条約の無条件・無期限延長が決定され,今後5年ごとにNPT運用再検討会議を開催することになった。一方,非締約国の印パ2国が1998年核実験を実施し,イスラエルとともに事実上の核保有国となった。2005年の再検討会議は核保有国と非核国の主張が対立して決裂状態で終わった。2009年4月米国オバマ大統領は米国大統領としてはじめて〈核廃絶〉を提唱する演説を行ったが,北朝鮮が,2006年につづき2009年5月にも核実験を行い,核不拡散問題をめぐって緊張状態が続いている。→トラテロルコ条約/ラロトンガ条約/ペリンダバ条約/東南アジア非核地帯条約 →関連項目核査察|原子力|原子力管理|国際原子力機関|国際連合|朝鮮半島非核化宣言|臨界前核実験