原子力平和利用(読み)げんしりょくへいわりよう(その他表記)peaceful uses of atomic energy

共同通信ニュース用語解説 「原子力平和利用」の解説

原子力平和利用

1953年12月、米国はアイゼンハワー大統領が国連演説で原子力の民生利用を呼び掛けたのを受け、原子力の有用性や平和追求国家としての自国をアピールするためにキャンペーンを始めた。第五福竜丸事件を受け、反核反米の動きが高まるのを懸念した日本政府は原発建設の推進、米国広報文化交流局による原子力平和利用博覧会などで協力。同博覧会は55年~57年まで広島市を含む各地を巡回し、来場者数は約260万人に上った。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原子力平和利用」の意味・わかりやすい解説

原子力平和利用
げんしりょくへいわりよう
peaceful uses of atomic energy

原子力エネルギーを宇宙海洋開発医学農業工業分野に平和的に利用すること。第2次世界大戦中の原爆開発計画によって急速に発達した原子力技術は,1950年代に原子力平和利用技術が公開されたことから,原子力エネルギーの平和利用の問題としてクローズアップし,次第に宇宙開発,海洋開発,および原子力発電,あるいは工業,農業,医学全般にわたるエネルギー源として重要視されている。しかし一方で,放射能による公害問題の解決も要求されている。 1946年に設置された国連原子力委員会では,国際間平和利用の具体化の一つとして,平和目的のための基礎的科学情報の交換を提案している。しかし,核燃料サイクル一環としてプルトニウム利用の範囲が拡大したことや 86年4月のチェルノブイリ原発事故などを契機核拡散と環境破壊の危険性に対する不安感が高まり,平和利用問題は新たな試練に直面している。

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世界大百科事典(旧版)内の原子力平和利用の言及

【原子力】より

…アメリカ政府は国内ウラン濃縮設備を効率的に利用することを目的に,54年原子力法を制定し,原子力の分野への産業界の自主的参入を認めた。53年アメリカ大統領アイゼンハワーは国連総会で〈平和目的の原子力〉と題する演説を行い,原子力平和利用を国際的に管理しながら進めるべきことを提案した。これを契機に,国連の下部機構として原子力の国際管理を目的とした国際原子力機関(IAEA)が57年に創立された。…

※「原子力平和利用」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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