厭離庵(読み)おんりあん

日本歴史地名大系 「厭離庵」の解説

厭離庵
おんりあん

[現在地名]右京区嵯峨二尊院門前善光寺山町

愛宕あたご街道の中ほどにある。善光寺山という竹林に囲まれ、現在は臨済宗天龍寺派の尼寺で、本尊は如意輪観音。「えんりあん」ともいう。境内には書院の外に時雨しぐれ亭・やなぎの水(硯の水)・藤原定家塚、定家の嗣子為家の墓などがあり、小倉百人一首を撰んだ定家の山荘跡とも伝える。「明月記」文暦二年(一二三五)五月二七日条によれば、定家は為家の妻の父、宇都宮頼綱(蓮生入道)嵯峨さが中院山荘(小倉中院)の障子色紙に、古来の名歌を撰んで記している。当地は、この中院山荘の跡ともいわれる。荒廃していたが江戸時代に冷泉家が修復、霊元法皇から厭離庵の号をうけて、白隠禅師の弟子霊源が開山

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の厭離庵の言及

【小倉山】より

…【金田 章裕】
[歌枕]
 《古今集》巻五の紀貫之の歌〈夕月夜小倉の山になく鹿の声のうちにや秋は暮るらむ〉や《小倉百人一首》所収の藤原忠平の歌〈小倉山峰のもみぢ葉心あらばいまひとたびのみゆき待たなむ〉など,古来多くの歌に詠まれている。東麓に藤原定家の山荘時雨(しぐれ)亭の跡という厭離(おんり)庵がある。同庵近くの落柿舎(らくししや)は向井去来の別荘であり,芭蕉はここで《嵯峨日記》を書いた。…

※「厭離庵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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