口町(読み)ひぐちちよう

日本歴史地名大系 「口町」の解説

口町
ひぐちちよう

下京区油小路通松原下ル

南北に通る油小路通(旧油小路)を挟む両側町。町の北側は松原通(旧五条大路)、南側は万寿寺通(旧樋口小路)にも面する。

平安京の条坊では左京六条二坊四保九町東側及び同一六町西側、平安中期以降は樋口油小路北にあたる。

平安末期、当町東南側には藤原孝範邸宅があり、「中右記」嘉保元年(一〇九四)閏三月一〇日条に焼亡記事がみえる。孝範は、「今昔物語集」巻二七に「長門ノ前司、藤原ノ孝範ト云フ者有キ。其レガ下総ノ権ノ守ト云ヒシ時ニ、関白殿ニ候ヒシ者ニテ、美濃ノ国ニ有ル生津いくつノ御庄ト云フ所ヲ預カリテ知ケル」とあるように、受領層の中でも関白家の家司を務めたいわゆる家司受領であり、康平五年(一〇六二)五月一三日付の伊勢国四天王寺領坪付(伊勢四天王寺文書)では、民部大丞として署名している。


口町
はかりぐちちよう

上京区日暮通出水上ル

南北に通る日暮ひぐらし通を挟む両側町。平安京大内裏「左近衛府」の跡地(「拾芥抄」の宮城指図)

近世聚楽第じゆらくだい遺構では行幸門の一つ「日暮門」の跡地で(坊目誌)、「名所都鳥」(元禄三年刊)は「日暮の門は鳥けだ物花づくし草づくしを彫刻み置也。諸人これを見るに。おぼへず日をくらしけるより名づけしなり」と記す。「山州名跡志」(正徳元年刊)には「此門後ニ高松殿ノ曠門トナス。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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