拾芥抄(読み)しゅうがいしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

拾芥抄
しゅうがいしょう

正称は『拾芥略要抄』。中世の百科事典ないしは生活便覧ともいえる書物の一つ。初めは3巻であったらしいが,増補されて6巻となっている。編者は洞院公賢 (とういんきんかた) とする説と洞院実煕 (さねひろ。 1409~57) とする説があるが,公賢原編,実煕増補とみる説が有力。ただし実煕以後の記事も含まれているから,順次増補されてきたものと思われる。内容は 99部門で,生活百般,文芸,政治関係その他,およそ貴族として生活していくために必要な最低限の知識,教養を簡単に解説したもの。室町時代に最も重宝がられたが,江戸時代にも流布している。『故実叢書』所収。

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百科事典マイペディアの解説

拾芥抄【しゅうがいしょう】

正称は〈拾芥略要抄〉。一種の百科事典。3巻。編者は洞院実煕(さねひろ),あるいは洞院公賢(きんかた)とも。鎌倉中期に原型ができ,その後増補されていったもので,歳時・経史・風俗・年中行事などが記され,中世における公家の信仰・習俗・教養,諸制度などを知る基本的史料。
→関連項目

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅうがいしょう【拾芥抄】

一種の百科事典。3巻。編者は洞院公賢あるいは洞院実熙というが,原型は鎌倉中期に成りその後増補が加えられていったものと考えられる。《拾芥略要抄》《略要抄》ともいう。歳時,経史,和歌,風俗,百官,年中行事など99部を載せ,宮城指図,八省指図,東西京図等の付図がある。中世における公家の一般的教養や諸制度,習俗などがよくわかる。《新訂増補故実叢書》所収。【清田 善樹】

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大辞林 第三版の解説

しゅうがいしょう【拾芥抄】

有職書。三巻。編者は洞院実熙とも洞院公賢とも。鎌倉中期頃成立。歳時・文学・風俗・官位・国郡・吉凶・天文・地理など百科にわたり漢文で略述。拾芥略要抄。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

拾芥抄
しゅうがいしょう

室町時代の有職(ゆうそく)中心の類書で、一種の百科事典。3巻。一名『拾芥略要抄』また『略要抄』ともいう。編者は洞院公賢(とういんきんかた)で、その5世の孫実煕(さねひろ)補とされる。公賢は後醍醐(ごだいご)、村山、後光厳(ごこうごん)の3代に仕え、従(じゅ)一位、左・右大臣を歴任し、『園太暦(えんたいりゃく)』『皇代暦(こうたいりゃく)』の著がある。実煕も従一位、左大臣に至り東山左府と称せられ、『名目抄(みょうもくしょう)』の著がある。
 内容は99部に分かれ、天文、地理、歳時から虫魚草木などで、とくに中巻は有職にあてられる。漢文であるが明快で、歴代の記録を集成し、簡略化して、記憶利用の便を図ったため、室町時代公卿(くぎょう)の間に愛用されたことは、『実隆公記(さねたかこうき)』(三条西)や『言継卿記(ときつぐきょうき)』(山科)などの記録で証明される。1613年(慶長18)活字版にして、初めて行基作日本図と京都左右両京図を載せている。1640年(寛永17)整版にして以来、広く通用されるようになった。1954年(昭和29)「故実叢書」22(吉川弘文館)に校訂発行された。[彌吉光長]

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世界大百科事典内の拾芥抄の言及

【食合せ】より

…とにかく,食経の示す食合せを避けることは法の志向するところであり,それは天子の食事だけでなく当然国民一般の食生活にも浸透していった。南北朝時代に洞院公賢(とういんきんかた)が著したとされる《拾芥抄(しゆうがいしよう)》には,ゴマ,ダイズ以下62種の動植物性食品について食合せになるものの名を挙げているが,その中には最近まで最も危険な食合せとされていたものの名が見られない。すなわち,ウナギと梅干し,てんぷらとスイカ,そばとタニシといったところであるが,ウナギの蒲焼,そば切り,てんぷらのいずれもが江戸時代に入ってからのものであることを思えば当然である。…

【百科事典】より

…室町時代の末には,《塵袋》と《壒囊鈔》を併せて一つにまとめた《塵添(じんてん)壒囊抄》20巻が作られ,近世を通じて広く用いられた。 公家の文化は,中世を通じて対象化され,憧憬の対象となったが,鎌倉時代の末に作られた《拾芥抄(しゆうがいしよう)》3巻は,平安時代以来の有職故実(ゆうそくこじつ)についての知識を集成した事典として重要な意味をもっている。また,中世の代表的な辞典である《下学集(かがくしゆう)》や《節用集(せつようしゆう)》は,類書的な編成をもっていたから,広く百科事典的な役割も果たした。…

※「拾芥抄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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