口角潰瘍(読み)こうかくかいよう(英語表記)cheilosis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「口角潰瘍」の意味・わかりやすい解説

口角潰瘍
こうかくかいよう

口角部の皮膚および粘膜が発赤し、やがて放射状亀裂(きれつ)を生じ、表面痂皮(かひ)(かさぶた)で覆われる症状をいう。口をあけるときに破れやすく、痛みを生じることが多い。一般に2~3週間で治癒するが、反復すると瘢痕(はんこん)(傷あと)が形成される。

[土谷尚之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「口角潰瘍」の意味・わかりやすい解説

口角潰瘍
こうかくかいよう
cheilosis

両側の口角部に痂皮の付着したびらん,亀裂または潰瘍を生じるもので,原因は単一ではなく,細菌感染,ビタミン欠乏,唾液の性質,外傷,口内炎,口内不潔,妊娠,消化器障害などが考えられている。小児に多い。症状は,口角部両側の皮膚と粘膜の移行部が白色になり,次いでびらんや潰瘍を生じ,白い苔でおおわれる。口を大きく開いたときなど,出血や痛みが起る。ブドウ球菌カンジダなどの感染によることもある。患部は硝酸銀焼灼やデルマトール散布を行い,ビタミン B2 ,B1 ,C,ニコチン酸などを補給する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の口角潰瘍の言及

【唇】より

…【田隅 本生】
[唇の病気]
 口唇炎はいろいろな原因で生じた口唇部の炎症で,原因には外傷,感染,光線,アレルギーが挙げられるほか,全身性疾患の一症状のこともある。口角炎は,口角潰瘍,口角亀裂ともよばれ,口角の皮膚と粘膜の移行部が白くただれて潰瘍となった状態で,初めは乾燥して放射状に亀裂が生じ出血するが,後に唾液で膨化してはれ潰瘍状になる。口を開くときに痛み出血することがある。…

【口角糜爛】より

…口角部の皮膚と粘膜が発赤して亀裂を生じ,出血したり,白くただれて潰瘍となった状態をいう。口角炎,口角亀裂,口角潰瘍あるいは〈カラスの灸〉などとも呼ばれ,小児や中年以後の婦人に多くみられる。口角部に両側同時に現れることが多く,まれに片側にのみ生ずることもある。…

※「口角潰瘍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android