各別・格別(読み)かくべち

精選版 日本国語大辞典の解説

かく‐べち【各別・格別】

〘名〙 (形動) =かくべつ(各別)(一)②③
風姿花伝(1400‐02頃)二「是は、凡、かくべちの事なれば、定めて稽古すべき形木(かたぎ)もなし」

かく‐べつ【各別・格別】

[1] 〘名〙
① (━する) それぞれ別であること。また、めいめいが別々に行なうこと。
※康頼宝物集(1179頃)下「真如実相も如此一つなれども、満迷には無明性法各別也」
※太平記(14C後)一七「浄慶父子各別の身と成て尾張守殿に属し申たる事にて候間」 〔春秋左伝注‐哀公元年〕
② (形動)(━する) 物事の種類、性質、内容などが異なること。全く別種であること。他とまじり合わない、それ固有であること。かくべち。
※肥前橘中村文書‐建長五年(1253)八月二七日・関東下知状案「寂心得地頭下文、乍行当名、令対公━。可各別御下文之旨、令申之条、甚無其謂之間、不別子細矣」
※日葡辞書(1603‐04)「Cacubetno(カクベツノ) シサイ アッテ〈訳〉異なるわけがあって」
※浄瑠璃・平家女護島(1719)四「互に心おく女中、廿三四の色ざかり、町の風とは一位(ひとくらゐ)、顔も姿も各別(カクベツ)に」
③ (形動)(格別) 物事の度合が普通より著しいさま。多く、よい方に著しい場合にいう。かくべち。
※評判記・役者評判蚰蜒(1674)金子六右衛門「一とせ大坂へ下りてより諸芸の品夕立の雨にかれわたる庭の草々のうるをいをうけたるごとく各別になりてのぼりたり」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)後「年々に割付上納いたすならば、格別(カクベツ)の慈悲をもって済しくれん」
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一「実に夕陽に映ずる景色は、また格別(カクベツ)と」
④ (格別)
(イ) (「…は格別」の形で) 話の外の事として別にするという意を表わす。ともかくとして。別にして。
※浄瑠璃・鑓の権三重帷子(1717)上「木石ならぬ若い者、当座の色は各別(カクベツ)
(ロ) (仮定表現のあとへ付けて) もしそうなら、事情が違ってくるという意を表わす。話は別になるが。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)八「ソリャ局女郎なとおかいなさりゃ格別(カクベツ)、みせつきじゃてて、ちと身なりあんじゃうして、あすの夜さりなとお出なされ」
[2] 〘副〙 (格別)
① 物事の状態、性質などの度合が普通よりはなはだしい意を表わす。とりわけ。特別に。とりたてて。
※虎明本狂言・仏師(室町末‐近世初)「それはかくべつちがふたが、何と申事じゃぞ」
※羅生門(1915)〈芥川龍之介〉「下人は雨がやんでも、格別(カクベツ)どうしようと云ふ当てはない」
② (下に打消を伴って) それほど。たいして。
※和英語林集成(初版)(1867)「Kakubetsz(カクベツ) カワッタ コトモ ゴザイマセン」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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