(読み)オノオノ

デジタル大辞泉 「各」の意味・読み・例文・類語

おの‐おの【各/各々】

《「おのおの」の意》
[名]多くのもののそれぞれ。めいめい。副詞的にも用いる。「学生―の自覚にまつ」「入選作は―すぐれている」
用法
[代]二人称人代名詞皆さん
「是御覧ぜよ、―」〈平家・三〉
[類語]それぞれ個個別別

かく【各】[漢字項目]

[音]カク(呉)(漢) [訓]おのおの
学習漢字]4年
おのおの。それぞれ。いろいろ。「各位各界各国各自各社各種各省各地各人各様
[名のり]まさ

かく【各】

[接頭]主に漢語名詞に付いて、多くのものの一つ一つ、一つ一つのどれもがみな、の意を表す。「教室」「大学」「クラス別々に行う」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「各」の意味・読み・例文・類語

おの‐おの【各・各々】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 多くのものそれぞれ。めいめい。各自。
    1. [初出の実例]「いと若き男、若き女をあひいへりけり。をのをの親ありければ、つつみていひさしてやみにけり」(出典:伊勢物語(10C前)八六)
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 対称多人数に向かって呼びかける語。皆さん。あなたがた。
    1. [初出の実例]「是御覧ぜよ、をのをの」(出典:平家物語(13C前)三)

各の語誌

( 1 )中世初期の軍記物語あたりから対称代名詞の用法が生じ、中世後期の狂言・キリシタン資料などにも丁寧な表現として使われている。
( 2 )近世に入るとやや固苦しい表現となり、対称代名詞の用法も丁重な物言い武士の改まった表現として使われることが多く、代名詞としては近代には廃れた。


かく【各】

  1. 〘 造語要素 〙 漢語の名詞の上に付けて、それらの多くのものの、一つ一つの意を表わす。おのおの。それぞれ。「各社会」「本とノート各一冊」など。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
    1. [初出の実例]「午前十時両院議員は各(カク)議院へ参集し」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉十二月暦)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「各」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音] カク
[字訓] いたる・おのおの

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
夂(ち)+口。夂は下降する足の形。口((さい))は祝詞を収める器の形で祝告。神に祈り、それに応えて神霊の降下して格(いた)る形。金文に「(いた)る」「(いた)る」、文献に「格(いた)る」の字を用いるが、各がその初文。また金文に「各(せうかく)」「(せうかく)」といい、文献に「昭格(せうかく)」「昭假(せうか)」という。〔説文〕二上に「異詞なり」とし、夂とは止むるも相聴かざる意で、各自の義とするが、一人降格するを各、衆神並び降るを皆という。それより各自の意となる。

[訓義]
1. いたる。また・格に作る。
2. おのおの。皆に対して各自をいう。ひとりひとり、べつべつ。

[古辞書の訓]
名義抄〕各 オノオノ・ツクス

[声系]
〔説文〕に各声として路・・骼・・格・賂・客・・貉・駱・洛・・閣・挌・絡・略・輅など二十九字を収める。字は路・客のように降神の儀礼に関するものと、格・のように枝格(からむ)の義をもつものとに分かれ、声も各と洛(らく)の二系となる。

[熟語]
各員・各各・各款・各憲・各項・各自・各社・各種・各条・各色各人・各別・各様・各落

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