吉原三王遺跡(読み)よしわらさんのういせき

日本歴史地名大系 「吉原三王遺跡」の解説

吉原三王遺跡
よしわらさんのういせき

[現在地名]佐原市丁子 天ノ宮

利根川支流によって開析された谷の最奥部の台地上に位置する。標高は約四〇メートル、周囲の水田面との比高は三〇メートルほど。遺跡の主体は古墳時代後半から奈良・平安時代にかけての集落遺跡で、とくに八世紀初頭から九世紀末までは香取神宮に付属する官衙的性格をもっていたと把握されている。このほか旧石器時代の石器群や縄文時代早期から後期にかけての土器、縄文中期の土壙群、中世近世土壙墓やそれに類する土壙群が多数検出されている。東関東自動車道の建設に伴い昭和五八年(一九八三)から同五九年にかけて発掘調査が行われた。検出されたおもな遺構は古墳時代では六世紀後半から七世紀末までの竪穴住居跡一二軒、奈良・平安時代では八世紀初頭から一一世紀前半までの竪穴住居跡九二軒と掘立柱建物跡三棟。調査面積が道路幅に限定されたため、竪穴住居などの遺構数は遺跡全体では数倍に上ると予想される。八世紀初頭から九世紀末までの遺構では台地上の溝によって方形に区画された居住区域が認められ、竪穴住居は強い規制を受けてその区画ごとに建替えられている様子が把握されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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