知恵蔵 「吉永小百合」の解説
吉永小百合
57年、11歳の時にラジオ東京のドラマ「赤胴鈴之助」のさゆり役でデビューし、59年、松竹「朝を呼ぶ口笛」で映画に初出演した。
60年、高校入学と同時に映画製作会社である日活と専属契約を結び、同年「ガラスの中の少女」で主役を演じるなどして人気が上昇。61年には16作品に出演した。62年、高度経済成長初期の青春像を描いた映画「キューポラのある街」にヒロイン役で出演し、ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。映画「赤い蕾と白い花」の主題歌「寒い朝」で歌手としてもデビューし、大ヒットした。更に、橋幸夫とのデュエット曲「いつでも夢を」では、日本レコード大賞を受賞。この年、NHK「紅白歌合戦」に初出場した。この頃から、吉永小百合のファンが「サユリスト」と呼ばれるようになる。
その後も、63年の「青い山脈」、「伊豆の踊子」、「光る海」、64年の「愛と死をみつめて」、「潮騒」、「こんにちは20歳」など、日活との専属契約が終了する68年までの約9年間で76作品に出演した。
多忙な芸能活動で高校を卒業できなかったものの、同等の学力が認められ、65年に早稲田大学に入学。69年に卒業を果たした。
その後も、71年「戦争と人間/第二部・愛と悲しみの山河」、72年「男はつらいよ/柴又慕情」、73年「戦争と人間/第三部・完結篇」、74年「男はつらいよ/寅次郎恋やつれ」、75年「青春の門」などの映画に出演したほか、テレビ出演も増え、NHK大河ドラマ「樅の木は残った」、TBS東芝日曜劇場「下町の女」、日本テレビ「花は花よめ」などに出演している。
73年、フジテレビディレクター(当時)の岡田太郎と結婚。
日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞を、85年「おはん」、「天国の駅」、89年「つる―鶴―」、「華の乱」、01年「長崎ぶらぶら節」、06年「北の零年」で4度受賞。日本を代表する女優として活躍を続ける。また、「夢千代日記」(テレビは81~84年放送、映画は85年公開)で胎内被爆した主人公を演じたのをきっかけに原爆詩の朗読を始め、現在まで続けている。
自ら企画した最新作「ふしぎな岬の物語」(14年10月公開)で、房総半島にある喫茶店の女主人を演じ、人々との心温まる交流を描いてモントリオール世界映画祭で審査員特別賞グランプリ、エキュメニカル審査員賞の2冠に輝いた。
(葛西奈津子 フリーランスライター/2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報